関連タグ: 2010年代 アメリカ US カスカディアン 自然崇拝 ポストブラック Southern Lord

アメリカのカスカディアンブラックメタル(と呼ばれるメタルの新しいジャンル)を世界に知らしめたWITTRの2011年作。
前作『Two Hunters』、『Black Cascade』に続く三部作の最終章。前作2作は意識はまだ地球、地上にあったため自然そのものに向けた思想を形にしたアルバムでした。地球に生きる生命、森の木々、自然、人間を含めた動物達、そういった生命エネルギーに対して作られていたアルバム。しかし生命とは?突き詰めれば海へ向かうし、もっと突き詰めていけば宇宙に向かいます。本作ではそのエネルギーは天体に向かいます。輝く星々、月、宇宙そのものへ向けたエネルギーが音となったアルバム。
よってこれまでのアルバムとは少し趣が異なり、ブラックメタル然とした暗黒さよりも光に満ち溢れているのが特徴。パーカッションもキラキラと鳴り、正に天体そのものを表現した壮大なサウンドが構築されておりこのあたりはポストロック/ポストハードコア系に通じる深遠さをもって表現されています。ブラックメタルを愛しながらも、その音楽の注目されていない要素を最大限まで引き出した、これまでにないブラックメタル愛のつまったアルバムと言えます。邪悪で重低音なブラックメタルリスナーにはおすすめしないけれど、Deafheavenのブレイクスルー前夜、WITTRは崇高な思想を突き詰めポストブラックのひとつの完成型を示していた、と今では言えるのじゃないでしょうかね。

Tracklist:
1.Thuja Magus Imperium 11:41
2.Permanet Changes in Conciousness 01:54
3.Subterranean Initiation 07:09
4.Rainbow Illness 01:28
5.Woodland Cathedral 05:26
6.Astral Blood 10:16
7.Prayer of Transformation 10:57