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2016年にDog KnightsからもアルバムをリリースしていたフロリダのEMO、Dikembeの2021年アルバムが到着。
このバンドに関しては言うなら、彼らは全く革新的なところはなくオールドスクールなEMOロックを作り続けているわけなのだけれど「Muck」と称した本作はテーマ性なところで、鬱やメンタルヘルス的な領域に接近したことにより、前作よりも暗くなった印象を受ける。だがそこにある2000年代感はやはり今の時代において1つのキーワードにもなってくる。ポリティカルなテーマとは距離を置きつつ、EMOが鎮痛剤や抗不安薬との関係が密接だった時代を想起させる。またはEMOロックと化したRadioheadというべきなのか。人類の大きな課題とは別の軸で、個人個人の気持ちとEMOと寄り添おうとする本作は、もしかしたら「ケアが必要な誰か」に向けて個人的に作られたかのようなプライベートな質感をも持ち合わせている。だからMVの曲だけ聴いてしまうと何か色々零れ落ちている印象になってしまうけど、ロックの王道を感じさせるアルバム前半部のEMOさとは裏腹なベッドルーム的雰囲気の中盤、そして美しいラストトラック「Leveled Again」には言葉では言い表せない気持ちにさせられ、音楽に裸にさせられる感覚、ある。商業的なジャンルとしてのEMOとは完全に異なるEMO。偶然にもコロナ時代の2021年と共鳴しているものがある。めちゃ良かったです。

tracklist:
1. Sink 01:37
2. Wake 02:28
3. All Got Sick 03:16
4. Throat 02:47
5. Old Husks 03:39
6. Stay Beat 03:10
7. Barely a Sea 02:49
8. Perfect Mess 02:31
9. Living in the Walls 03:06
10. Shame 03:42
11. Leveled Again 06:44