関連タグ: 2010年代 フランス 耽美 変態 La Mesnie Herlequin

フランスの狂気、Peste Noireの2011年に発表した4thアルバム。
体調の悪いときにPeste Noireは聴きたくない。彼らの音楽には依存性の高い何かがあることは確かだ。クラシカルな音階を駆使した構成美と、それとは全く相反する不協和音やノイズ、よくわからない動物のわめき声がミックスされ、リズムも突然タンゴ調になったりと落ち着きが無く人を不安にさせる要素ばかりだ。
本作では1st期の頃と比較するとかなり趣向が変わって来ているので好き嫌いが別れるところだろう。アルバムの構造としても大曲志向になり長尺の曲が中心となっている全5曲(だがトータルタイムは60分を超える)。バンド初期に見せていた狂気は整えられた姿になっているため攻撃性は後退している。なのでこのアルバムの楽しみ方はやはり疾走以外でブラックメタルという音楽がリスナーに対してどう陶酔感を齎す事ができるのかという挑戦のようにも感じる。時に怪しげに展開していく楽曲はもはや従来のブラックメタルのプラットフォームを完全に無視していた。彼らもまた、意図的かどうかは知らないがブラックメタルの裾野を広げていく存在なのだと認識させた作品である。

tracklist:
1. Casse, peches, fractures et traditions 10:48
2. Cochon carotte et les saeurs crotte 08:28
3. J'avais reve du nord 20:26
4. Sale Famine von Valfoutre 11:32
5. La condi hu 09:09