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現時代の空気感を見据えつつ、大御所として存在してしまう自分たちを客観視しつつ、それでも次の世代に残すポジティブを生み出すマジック

まさか2020年にJune Of 44のアルバムが出ると思っていた人はいなかったと思う。というか解散していたとすら思っていた。各メンバーの活動領域もさることながら野心的に音楽ジャンルを横断し拡張していった真なる意味での「ポストロック」体現者として1990年代の重要バンドであることに異論は無い。もはやレジェンドクラスの立ち位置になってしまった今、それでもこのアルバムのリリースは横綱相撲でなく野心的であることに「彼らは間違ってなかったな」ってことを再認識させてくれる。いや、これってオリジナルアルバムとして数えていいんだっけ?と思うのは1曲目「A Chance to Cure is a Chance to Cut Your Face」は1996年の「Cut Your Face」のリミックスであり、8曲目「Paint Your Face」もその未発表verであるらしい。しかも中盤にもJOHN McENTIREリミックスによる「A Past to Face」が差し込まれており、要するにこの無茶苦茶加減はそのままアルバムコンセプトになっているような印象さえ受ける。アルバムタイトルは直訳すれば『修正論者:愛と生存の時代の適応と未来史』ということで、アルバムへの印象はいつもの俺の思い込みというだけでは片付けられないはず。現時代の空気感を見据えつつ、大御所として存在してしまう自分たちを客観視しつつ、それでも次の世代に残すポジティブを生み出すマジック。そういうことにしましょう。
来日ツアーも計画していたそうで色々と残念ですが、そういうことなのでポジティブに生き残れ。

tracklist:
1. A Chance to Cure is a Chance to Cut Your Face (MATMOS REMIX) 04:59
2. ReRecorded Syntax 05:02
3. Cardiac Atlas 07:33
4. Post-Modern Hereditary Dance Steps 02:19
5. A Past to Face (JOHN McENTIRE REMIX) 03:22
6. No Escape, Levitate 04:30
7. Generate 03:48
8. Paint Your Face 02:58