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2020年のアルバム『Pudeut』も、そしてEP『Poigne』も凄かったし、ここまでに至るバンドの進化の過程を追っていくと更に面白い。フランスのFANGEは驚異的なスピードで作品を作り出し、そのアウトプットの強さがバンドを更に進化させていく。そしてインダストリアルとスラッジのバランスを絶妙に舵取りしながら進んでいく彼らの今は最高にスリリングだと思う。
本作『Pantocrator』はA面、B面に各1曲、しかしどちらも15分を超える長尺の組曲を収録している。「万物の支配者」を意味するタイトルどおり、彼らのサウンドと思想は、権力や権威に支配されることなく、自由で美しい音と演奏によって表現されていく。真実という名の苦悩、絶望。暗く重いサウンドながら、ドラマチックで、エモーショナル。US、UKの最先端とも違う、むしろそこに対して自分たちは支配されていないのだという執念にも似た決意を感じさせる。アルバムではないとはいえ、この作品はやはり無視できなかった。FANGEは今一番好きなバンドの1つです。

tracklist:
1. Tombé Pour La France 15:34
2. Les Vergers De La Désolation 15:08