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envyの作品の中で、というだけでなく日本発のハードコア作品の中でも世界中多くのリスナーに愛されている通称「君靴」(正式名:『君の靴と未来』)のTemporary Residence LimitedよりリイシューされたLP盤の入荷です。オリジナルリリースは2001年。
日本では激情と呼ばれ、海外ではScreamoと呼ばれたこのカオティックで美しい音楽、今でこそこの手のスタイルは目新しいものではないのかもしれないが、それは90年代から続く歴史と日本においてはenvyが切り開いてきた文脈があったからこそ今でも成立していることは忘れてはいけない。というくらい、本作はこの作品のリリースに到達するまでの歴史でもそうだし、その後の国内外のバンド達に与えた影響度という点でも重要な作品である。もちろん2021年の今聴くことの意味は当時とは全然違うし、クラシックの作品として聴かれることになる。だけどこの作品をレコード棚に加えることは、きっと大事な問題なのかなと。
そしてenvyのサウンドはその時代の激情ハードコアを定義したとも言える。そのことが多くのバンドにとっての呪いになっている面もあると思う。このシーンに関わる以上、直接的、間接的に関わらずenvyの影響から逃れることは不可能かもしれない。だからこそenvyをどう解釈するかが問われているし、そこにセンスが出る。envy丸パクリのバンドを見ると悲しい気持ちになる。「ハードコアなのにこんなに泣いている音楽を聴いたことがなかった」という海外評価には、envyのサウンドが内包する哀愁を見出している様が読み取れる。envyはハードコアとクラシックの融合であるという定義もあるが、あからさまな日本アピールとは違う、自分たちは何者なのかという問いが彼らのサウンドにはあったのだと思う。他の誰かから影響を受けて生きていくのは当たり前のこと、誰かのひねり出した回答に乗っかるのではなく、自分がアウトプットできる表現が大事。

tracklist:
A1 Zero
A2 Farewell To Words
A3 Lies, And Release From Silence
A4 Left Hand
A5 A Cradle Of Arguments And Anxiousness
B1 Mystery And Peace
B2 Invisible Thread
B3 The Spiral Manipulation
B4 A Cage It Falls Into
B5 The Light Of My Footprints
B6 Your Shoes And The World To Come