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躁鬱オルタナティブ、ぺんぎんの憂鬱

3LA邦ロック部は必ずチェックしてください。躁鬱オルタナティブ(そんなジャンルはあるのか)の名の通り、人類のライフスタイルの変化がテクノロジーによって加速されていく中で社会問題化した現代のサウンドトラック的な邦ロック。90〜00年代のEMO拡散の背景にあるのは向精神薬だが、2010年代以降のドラッグはSNSであり、それらが加速させ、その速度の中で振り落とされる重要な物に我々が本当に気づくのは100年後である。みんな死んでる。
バンド名はウクライナ作家アンドレイ・クルコフの代表作『ぺんぎんの憂鬱』より拝借したと思われるが、そもそもリリースインフォにも自虐的なワードが差し込まれており、いわゆるJ-POP文脈ではあるものの確かにありそうでなかった暗さがあり、アップテンポの楽曲も”躁”なのであると定義されるので、世のJ-POPはぜんぶ躁だったのではないかと思わなくもない。鬱化した羊文学、downtなどが好きな人もイケると思う。音楽は重要な癒し、「曖昧夢」「特大夢」の二部構成となる模様。「2086」が良い。

(リリースインフォより)
ぺんぎんの憂鬱は都内でときどき活動しているソロプロジェクト。ジャンルとしてはオルタナ、インディー、ベッドルームポップ、ポストロック等の文脈を持つ。不穏なコード進行や一癖ある展開に、可愛い声と必要以上に暗い歌詞がのった陰鬱な楽曲を作っている。曲の意図を汲んだ、シンプルかつ凝ったリズム隊も特徴的。

2枚組EPの第一弾となる『曖昧夢』EPは、曲ごとにハイとローの気分、國、くらげ計画の各ギタリストをサポートギターに迎えた、チャレンジングな制作方法となっている。全楽曲でDr. 三浦(50 pears)、Ba. 坪田がサポートとして参加した。Recording/Mix/Masteringは折坂悠太や宇宙ネコ子などを手がける中村公輔が担当し、音質的にも素晴らしいものとなった。
躁と鬱をテーマに、一見明るい曲と暗い曲とを交互に収録したキュートで陰鬱なEPとなっている。変拍子や不思議なコードと展開に、暗くてよくわからない歌詞が合わさり、掴みどころのない歌声が癖になる一枚。

tracklist:
1.落ちる
2.2086
3.SCR
4.決めない