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Emily Spragueを中心としたNYのインディ・フォーク・バンド、Floristの2022年発売アルバム。Double Double Whammyからのリリース。

『Emily Alone』(2019)では、一度バンドから離れ一人で製作し、けれどやっぱり戻るところはFloristという約10年来のバンドなんだという意思が感じられる2組セルフタイトル作。

赤でもなく、青でもない。深い紫色のジャケット、美しい葡萄色の2枚のレコード。バンドは今回、ハドソン渓谷の大きな丘の端にある古い家を借りてこの作品をレコーディングをしたそうだ。

レコードプレーヤーに針を落とすと、コオロギや鈴虫の鳴き声、そして優しげな音色が聴こえて来る。柔らかく頬をなでるような風の音、ザーザー降る雨の音...。そんな自然からの恩恵さえも、Floristの音の一部になっていく様は、身震いしてしまうほどに美しい。

Floristの音楽は、人間、自然、いや地球のための音楽なんだと思う。特にこのレコードが発売された2022年は、パンデミックにより人と人とのフィジカル的な繋がりが薄れ、いろいろなことが今まで通りじゃなくなっていた。ここ最近考えていることは、バンドでの音楽活動はSSWなどのソロ・アーティストとはまた違った類の空気感を生み出せるということ。それは同年Big Thiefが『Dragon New Warm Mountain I Believe in You』で証明したように、また、Sadurnの『Radiator』でも同じようなものを感じた。

小さい集合体のようでも、愛情や友情、そう、とてつもなく暖かくて大きいものがある。

世界中の125人ものコラボレーターから送られてたショートムービーを集めて作った「Spring In Hours」のビデオにも、季節、自然、愛、友情などの本作の大切なテーマがふんだんに盛り込まれている。必聴。


Tracklist:
A1.June 9th Nighttime
A2.Red Bird Pt. 2 (Morning)
A3.Duet For Guitar And Rain
A4.Spring In Hours
B5.Bells Pt. 1
B6.Two Ways
B7.Variation
B8.Organ's Drone
B9.Duet For 2 Eyes
B10.Reprise
B11.43
C12.Bells Pt. 2
C13.River's Bed
C14.Sci-Fi Silence
C15.Finally
D16.Dandelion
D17.Bell Pt. 3
D18.Feathers
D19.Jonnie On The Porch