遂に到着、Cloud Ratの2015年新作がHalo Of Fliesよりリリースされた。
グラインドコアに激情要素やアンビエントパートも組み合わせた名盤『Moksha』(2nd)発表から約2年、様々なツアーやフェス出演を経てバンドは新たな境地に達している。グラインドコアというバイオレンスな音楽を手にしながら、彼らの提示する表現には美意識が隅々まで行き届いている。より深くへ達した精神で描かれる本作、またもや名盤の予感がしている。
アートワークでは菊に繋がれている女性、花々の持つ美しさを表現しながら、重々しくミステリアスな怖さも感じる。これらのイメージはバンドが意図的に提示しているものだ。歌詞についても難解な表現が多く、ぱっと読んだだけでは分かり辛いがどうやらグノーシス派神秘主義や密教などとも関係しているようだ。つまり、神に救いを求めるような希望は一切なく、絶望的な世界観であり、この現世の世界情勢を反映させたものであり、アルバム全体が感じさせる印象は前作よりも相当にダークだ。
語るべき部分はサウンド面でもある。よりダークになった世界観を反映させた楽曲はより攻撃的に、邪悪に変化を見せている。アンビエントパートも多少はあるものの前作でのバランス感覚は減退している。ノイズやクラストさも後退し、感情をよりストレートな表現でぶちまけている。ブラストパートも疾走パートも聴く者を奮い立たせるパッションに満ちあふれている。バンドはよりポリティカルにフェミ/アンチファシズム等の思想を打ち出しているが、ネガティブなエネルギーに満ちているが表現している内容はポジティブだったりもする。時代を反映する以上、そう変化せざるを得なかったと言う事もできる。
深い思想(それは一朝一夕で出来上がるものではなく相当なストレスが自身にもかかっているはずだ)に裏打ちされた表現には、強度がある。SNS全盛、情報過多の時代において、賞味期限の長い強度を持ったアートを打ち出して行く姿勢は重要なことなのだと気づかせてくれる。何度も聴き込んで噛み締めるべき一枚。
tracklist:
1. Seken 02:15
2. Botched 01:21
3. The Upper World 02:28
4. Raccoon 03:26
5. Daisies 01:40
6. Bloated Goat 01:22
7. Rusting Belt 02:15
8. Udder Dust 03:29
9. The Killing Horizon 02:09
10. The Boar's Snout 01:43
11. Hermit - Interstice 02:52
12. Live Wake 01:35
13. Thin Vein 03:31
14. Bolt Gun 02:27
15. Rouge Park 01:37
16. Friend of the Court 03:20
17. Chrysalis 02:39
※ライブ、ノイズ担当みたいなメンバー増えてません?