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来日も果たしたシンガポールのポストロック/シューゲイズの2016年音源。
ライブでは第一印象の"envy感"が強くて「おや?」と思ったものだが、この作品に改めて向き合ってみるとそんなこともないんじゃないかと思い直した。楽曲は長尺で、音と音の隙間で語る系の意識高いポストロックで、メロディーラインやコード進行もかなり練られていて既存ポストロックの枠からも少しハミ出していこうとする気概を感じるし、楽曲のテンションが静から動に転じても勢いで押し切ることは一切しないあたり本物の繊細さとは何なのか考えさせられる。全体を覆う落ち着いた雰囲気にバイオレンスなものを求めているリスナーにはツライかもしれないが、知的な轟音を求めているリスナーには推薦できるしむしろポストメタル的な音が好きな人にもシンパシーを感じる部分が多いのではないだろうか。
東南アジアの激情は全体的に荒く、生々しい印象があるがシンガポールは国の豊かさ故なのか、少し雰囲気が異なるし生まれてくる音もアジア感よりもヨーロッパ的な洗練を感じることが多い。そういうところも面白い。

tracklist:
1. Satiate 10:24
2. Cadence of Dissension 09:42
3. Reflections 02:49
4. Portrait in a Convex Mirror 01:41
5. Prognosis 06:21
6. Continuum 04:18