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Interview with pale & 冬蟲夏草 by 3LA


「CDにこだわらずにインターネットを駆使したらどこまで届くのだろうというのが、このスプリットのコンセプトの一つ」 / 渡辺(pale)


4way split 『Two』をリリースしたPale、nhomme、冬蟲夏草、明日の叙景より渡辺(pale)、河内(冬蟲夏草)、高島(冬蟲夏草)を迎えてのラジオを収録をした文字起こしverをインタビュー記事として掲載します。「デジタルはパンク」という謎のステートメントを発信しているけど、その意図は?などなどを語ってもらいました。文字にする過程で、カットしてしまっている部分が大量にあるため、フルバージョンを聞きたいからは是非3LAのラジオのほうでご確認ください! >> URL

3LA:今回は4way split 『Two』をリリースしたてのpaleと冬蟲夏草のメンバーに来て頂いています。まずは簡単に自己紹介からお願いします。
渡辺:paleは2016年から活動を始めて、いわゆるポストブラックメタルやブラックゲイズを標榜しているバンドです。
河内:冬蟲夏草がライブを始めたのは2014年ですね。カオティックハードコアとかマスコアとかと言われることが多いです。ただ、そういうジャンルの音楽を作りたいと思っているわけではなくて、自分が聞きたい音楽をやっているだけ、という感じですね。

3LA:paleの収録曲「Dakhme」。前半は完全にブラックメタルですよね。そして変拍子の後にくるリフは「ここはイギリスですか?」って感じのNWOBHM。そもそもポストブラックってなんでしたっけという話でもありますが。
渡辺:あのパートはメロディックサインを掲げて小刻みに頭を振ってくれっていう─オタクですね(笑)
paleで作曲していく上で、10代の頃に好きだったsigur ros とかに、自分が好きなポストブラックメタル、ヘヴィメタルの要素をいろいろ詰め込んでいきたいと思いました。
なのでDeafheavenなどのフォロワーとしてではなく、一表現者として同じラインに立って活動していきたいと思っています。
特定の考えに捉われずに、やりたいことを混ぜていきたいですね。バンド名のpaleの意味や、ジャケットが抽象画であることも、そういったメンタリティに由来しています。

3LA:冬蟲夏草の収録曲「玩弄物」は、情報量が多いですよね。コミカルなボーカルや、乾いたスネア、空間のある曲構成から、密室ノイローゼ(カリガリの第4、5実験室あたり)の雰囲気を感じます。V系からの影響が強く感じますがそこはどうでしょうか?
河内:それよく言われるんですけど、V系に影響を受けている意識はないんです。でも僕が影響を受けているバンドには、V系と共通項があると思います。例えばKORNやNine Inch Nailsですね。あとはあぶらだこやMike Pattonの影響があると思います。いろいろな声を使い分けるボーカルスタイルなんですけど、それがV系っぽいと解釈されているのかもしれないです。

3LA:なるほど。僕は冬蟲夏草を初めて見た時の印象が残っていて─。機材トラブルで高島君のベースが出なくなったんですよ。その時に彼が何をしたかっていうと、機材をガチャガチャしないで、ベースを置いてマジギレの顔で踊り出したんです。それを見て「これは良いバンドになる」と思いました。そうしたアクシデントの瞬間にバンドの真価は問われますからね。
高島:それ覚えてます。2秒くらい悩んで、踊るしかねえってなりました。そのあとブッキングの先輩に「ポールダンスはいかんよ」って怒られましたけど(笑)。

「いくらデジタルコンテンツが広まったとしても、入り口としては便利ですが、実際に生で見るライブとは全然違う」 / 高島(冬蟲夏草)


3LA:では、この4way splitを出そうと思ったきっかけは何だったのでしょう?
渡辺:きっかけは自分です。同世代で何か仕掛けるならこの4バンドだろうと思って、2018年の春くらいからこのプロジェクトは始まりました。周りのバンドに馴染みきれていない感じや、どこにも属せない雰囲気といったメンタリティが、この4バンドは近いと考えました。
河内:周りに音楽性が近いバンドはあまりいないですし、結果的にちょっと浮いちゃってるとは思いますね。

3LA:ステートメントを出すというのは、このご時世に珍しいと思います。コンセプトを「デジタルはパンク」と定めた理由は?
渡辺:4バンドいるので、方向性となる指針があったほうが良いと思ったんです。ある時、4バンドの代表者で話し合いをした中で、等力君(明日の叙景/gt)の出した案が「デジタルはパンク」でした。そこに説明を加えてステートメントの文章ができ、それに沿ってここまで突っ走ってきました。
高島:これは決してアナログを淘汰するような意味ではないんです。多くの人に届けるための手段として、デジタルを積極的に使っていきたいと思っています。昔レコードやCDによって、たくさんの人が音楽を聴けるようになったのと同じように、今はデジタル配信がその存在なのではないでしょうか。



3LA:今メジャーアーティストの人たちはストリーミングを配信しているのに対して、インディーズの人たちの多くは配信をしていません。依然、ストリーミングによってCDの売り上げが落ちてしまうことを懸念する人は多い。この4wayのバンドたちはCDの売り上げについてはどう捉えていますか?
渡辺:実際まだあまり伸びていないし、ストリーミングを解禁しないほうがCDは売れただろうなという感覚はありますね。でも、CDにこだわらずにインターネットを駆使したらどこまで届くのだろうというのが、このスプリットのコンセプトの一つなので。あくまで音楽を届けることがスタートラインだと考えていて、今はそれが容易にできる環境にあると思います。もちろん限られた音源に手を伸ばしにいくという熱量は大事ですが、距離や金銭的な事情でそれが難しい人もいる。そういった人々を無視してはいけないというのはすごく考えています。ですから音源をネット上で誰でもすぐに聴けるように整えて、流通もしっかりやって在庫切れや限定された販売はなくそうという部分は、意識してやっています。
高島:ステートメントには、ライブハウスや現場に限らずにデジタルで配信していこうという文章があります。僕はライブハウスで仕事をしています。その中で、いくらデジタルコンテンツが広まったとしても、入り口としては便利ですが、実際に生で見るライブとは全然違うと思っているんです。だからどれだけデジタルが発達しても、ナマモノにしかない魅力は生き残ると思っています。
渡辺:それって僕らが10代の頃からの流れだもんね。ライブ映像を見てすごいと思って実際に見に行って、やっぱ全然違うなって感動するっていう。そういう入り口を整えておくというのは大事なところですね。
3LA:ストーリーを考えているってことですね。無料ストリーミングという入口があって、レコ発という出口がある。CDを揃えたい人は十分に流通されているから購入できるし。でも最終的には生身の人間同士でやるしかないということ。だから、デジタルはパンクと言いながらも、これって行き着くところはアナログっていうオチになっていますよね。

渡辺:そうですね。音楽を届ける上でやらなければならない当たり前なことを、現代風にやっているという認識です。
河内:CDだけだと国内中心のマーケットになりがちですが、デジタルを取り入れれば海外からも平等に手が届きやすくなります。実際、このリリースによって海外のリスナーも増えましたし。そもそも刺さる人がそう多くはないジャンルなので、グローバルにリスナーを獲得していくという意味で、デジタルを使うメリットは大きいと感じますね。

3LA:ストリーミングだと聞かれている国も分かるので、海外ツアーする時には場所選びの参考にもなりますからね。現にこのスプリットについて、海外レーベルからの問い合わせも入っています。国内リリースのほとんどはストリーミングしないし、海外流通もあまりないので、海外リスナーからはもっと聞きやすくしてほしいと言われることがあるんです。

「売れるために音楽性とかを寄せていくつもりはまったくない」 / 河内(冬蟲夏草)

3LA:90年代のパンクシーンの人たちから聞いた話があって。2000年代初頭までは、メジャーの音楽の影響力が大きすぎるから、アンダーグラウンドの音楽がリスナーに届かないんだという意見がありました。
しかし、インターネットが発達して誰でも自分好みの音楽を気軽に聞けるようになってからも、結局マイナーなバンドの音楽ってそんなに広まらなかった。つまり、インターネットによって簡単に聞けるバンドの母数が増え、競争が激しくなっただけで、それぞれの知名度向上には繋がらなかった(=大手メディアがいなくなって、みんながフラットに情報にアクセスできるようになっても聞かれないバンドは聞かれないままだという現実を突きつけられた)
そんなことが過去にあったわけですが、現代に活動する皆さんは、自身のバンドの知名度やリスナーについて、どのように考えていますか?
渡辺:自分のやっている音楽が万人向けではないニッチなものだという自覚はあります。ライブに来る若い人が少なかったり、集客が難しかったりする日もある。そういう状況を打開するための第一歩として、このスプリットが今後生きてくればと思います。
河内:知名度に関して、僕はずっと「売れたい」って言っています。ただ、売れるために音楽性とかを寄せていくつもりはまったくないので、ただただ金くれって言ってるのと同じかもしれないって、最近思いました(笑)。
渡辺:あと、最近のメジャーのバンドって曲作りのクオリティーがとても高いですよね。WANIMAと米津玄師にハマっているんですが、曲もジャンルを越えて実験的なことをしていると思います。そういう面では、僕らのようなアンダーグラウンドな音楽も負けたくないですね。



3LA:ところで4way splitですがタイトルは『Two』なんですね。
渡辺:本作のジャケット用に描き下ろしを依頼した山本直輝さんの絵のタイトルが、『Two』でした。
河内:絵も無機質な印象で、スプリットのコンセプトに近いと思いました。デジタルっぽさがあるというか。

3LA:近すぎず遠すぎないイメージで、どのバンドっぽさもないのが良いと思います。ちょっとサンプリングっぽいですよね?
渡辺:実際そうみたいで、雑誌の切り抜きとかの素材をイラレでコラージュしているらしいです。でもそれだけだと制作の実感が湧かないということで、最終的にはそれを基にペインティングしているそうです。

3LA:なるほど。ちなみに、バンドの曲作りはどうやって進めているのですか?
渡辺: paleはA→B→C→Dみたいに好きな展開で繋いで継ぎ接ぎのように作っていくことが多いです。冬蟲夏草はセクションは細かく分かれていますが、1曲トータルで一つの塊になっている印象がありますね。
高島:1曲の中でテーマは定まっています。レコードが音飛びしているイメージだったり、見世物小屋だったり、びっくり箱だったり。

3LA:確かに冬蟲夏草はコンセプチュアルで、クラシックの要素も入っているように感じますね。国内のバンドでコンセプトモノというと歌詞に比重を置きがちですが、それを音楽的に表現していると思いました。
河内:曲は、僕がドラム、ベース、ギターをすべて譜面にして、メンバーに共有する形でつくっています。ボーカルはボイスメモで録音して送っています。
高島:だから最初は採譜するところから始まるんです。それで、河内さんが迷っているところとかがあれば、提案をしていきます。
渡辺:paleは曲によって割と変わります。「Dakhme」は最初に坂口(pale/vo)が持ってきたフレーズをスタジオでアレンジしていきました。その中でできた基盤となるリフが、イントロのフレーズです。そのフレーズを基に宅録で現在の形にアレンジしたという感じですね。ある程度は練る過程があって、それが固まってから一つの形にするというやり方です。



3LA:では最後に、今後についてはどのように動いていきますか?
高島:12月1日日曜日に渋谷HOMEというライブハウスでレコ発イベントを行います。詳細は各種SNSで告知しているのでチェックしてもらいたいです。「デジタルはパンク」というコンセプトに則り、ライブの生配信も予定しています。

3LA:ライブ会場に行くなり配信で見るなり、リスナーに委ねている部分が大きいですよね。そうしてバンドがきっかけを与えて、リスナーに自分の判断でのリアクションを求めていることは重要で、最後の1ピースをリスナーに委ねないと与えるだけになってしまって、僕はリスナーも主体であるべきだし、受身であってほしいとは思わない。
渡辺:paleは直近で、イタリアのselvaとのツアーが11/14から始まる(現時点では終了)ので、ぜひそちらに足を運んで頂きたいです。来年はアルバムも出したいと思っています。
高島:冬蟲夏草としては、PoiLというフランスの好きなバンドがいて、数か月コンタクトを取っているんです。当初は来年頭に来日予定だったんですが、現状は来年秋には来日すると聞いています。そのタイミングでPoiLとツアーを回って、そこにアルバムも間に合わせたいと企んでいます。



Two / Pale + nhomme + 冬蟲夏草 + 明日の叙景 (4way split CD)
Two / Pale + nhomme + 冬蟲夏草 + 明日の叙景 (4way split CD)
2010年代の現行バンドPale、nhomme、冬蟲夏草、明日の叙景によるコンセプチャルな4wayスプリット!!





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