「kaospilotを初めて聞いた時に感じた感覚を自分の中から引きずり出したくて、ずっと曲を書いています。」 / Interview with Toshi(from ixtab)
(photo by Yuma Kikui(@ymaphoto1109))
群馬のエモバイオレンスixtab(商品URLはこちら)は3LAでディストロとして入荷しているが、あくまでデモ音源ではあるが、高い評価を受けているバンドだ。過去のライブ映像などはYoutubeに上がっているが、この2018年の最新デモではそれらの音とは違うバンドが次の段階に入っているであろうことを予想させる(なので今回の記事にはYoutube等のリンクは無し)。未だ謎の多いこのバンドのVo.Gt、Toshiにインタビューを行いました。
Q: さっそくなのですが、バンドの来歴を簡単に教えてください。いつ頃結成され、どんな活動をしてきたのでしょうか?
A: 結成は2013年頃です。活動は今と変わらず、月に2〜4回ライブを行ってきました。音源作品は地元の「福音レコード(猿芝居のVo、スケキヨ氏のレーベル)からのリリースや自主制作を行ってきました。
Q: 基本的には地元中心に活動していたということでしょうか?
姫路のKUGURIDOジョージくんやTRIKORONAの是枝さんからかっこいいよってバンド名は聞いていたんですが、県外のバンドと交流を持つきっかけは何でしたか?
A: 基本は地元で活動してきました!
県外へは、各土地のバンドのイベントに呼んで貰った時に出向かせて貰っています。TRIKORONAやSTUBBORN FATHER、KUGURIDOとは突撃戦車Gt(ex.Tetola93 Gt)の丸山さんの企画で出会い、それから自分達の企画に呼んだり逆に呼んで貰ったりしています!
最近は自分の個人企画で県外の好きなバンドに声をかけてきっかけを作っている感じです。
Q: ジャケット画像の歌詞からも「怒り」な要素をすごく感じています。日常の生活は、それほどまでに怒りを感じるようなことが多いのでしょうか。
A:「怒り」は、このバンドを始める時から変わらないコンセプトであり、自分がハードコアに抱く憧れみたいなものです。ネガティブな感情を前進する力に変換してくれるのが、俺の体現したいハードコアのあり方です。
ですが別段、俺は日頃常にキレている様なヤバい人間ではないです(笑)
この時代の日本では、そんな特段「危ない奴」じゃなくとも怒りを感じる事は多いと思います。政治的な怒り、時間の足りない怒り、死んででも逃げ出したい生活への怒りとか。「なんでこんな事になってんの?」って事の答えは、大概怒りを感じる内容な気がします。
(Toshiは群馬SUNBURSTのスタッフとしても働いている。)
Q:「ハードコアに抱く憧れ」という話がありましたが、初めてその憧れを抱いたキッカケはどういうときでしたか?また、ハードコアに出会うまではどんな音楽を聞いて、どんな生活をしていましたか?ハードコアに出会って一番変わったものってなんでしょうか?
A: 初めて憧れを持ったのは、Tetola 93とVisyaaaのスプリット作品を聞いた時です。その前からenvyとかも聞いていたのですが、ixtabでの活動や今の思想に一番強く影響したのはTetola 93でした。ハードコアに出会うまでは、今もそうですが色んな音楽をとにかく聞いていました。特にメタルとハードロックは仲の良い音楽好きの先輩に教えて貰って、毎日毎日聞いたり弾いたりしてました。
ハードコアに出会って変わったことは、人や生活や音楽など何事に対してもですが、向き合う姿勢だと思います。
Q: Tetolaのスプリットって結構前のリリースでしたが、リアルタイムで聞きましたか?
A: いえ、自分が18の時なので、今からおよそ6年程前にGUNMASUNBURSTでPAをしている丸さんに音源を頂きました。
Q: そのときTetola 93の音源の中に、なにを見出したのでしょうか?ハードコアに出会うまでに音楽的な土壌は豊かに出来上がっているように見受けられました。でも、ハードコアの音楽っていってみれば、一番音楽的じゃないというか、音楽理論とか知らないような人たちが作っていることが多々有ります。
というような質問をするのは、ixtabの音楽ってハードコアにとって一番失ってはいけない勢いだとか怒りだとか、外へ向かう姿勢だとかそういうものがあるんじゃないかという気がしていて。
A: 初めて作品を聞いた時は、強烈な熱量をまず感じましたが、最後まで聞いて「主張する」って言うのはこういう事なのか!と感動しました。何より「こんな風になりたい!」って純粋に憧れました。
そして今もTetola 93はSTUBBORN FATHERやkaospilotに並んで憧れの存在です。
ハードコアバンドである事を認めて欲しい人に認めて貰えたので、誇りを持ってハードコアを続ける為にも、何よりも姿勢は大切にしています。
Q: STUBBORN FATHERやTRIKORONA、KUGURIDOといった人たちとは音楽について話をしたことはありますか?彼らもまた、ixtabに何かを感じていたんだと思ってます。
A: はい、STUBBORN FATHER、TRIKORONA、KUGURIDO、の皆さんとも音楽の話はさせて貰いました。
どんな音楽を聞いているのか質問されたり逆にしたりとか、後は自分達がまだバンドの動かし方が下手なので、どうゆう風なやり方があるのか聞かせて貰ったり、さっきの話ではありませんが姿勢について話の中で自然と教しえて頂いている事が多いです。
Q: 音源を実際に聞くと、表層的なハードコアのイメージだけに留まらない音楽的にもとてもかっこいいものでよかったです。「激情ハードコア」ってこういう鋭さが欲しいなってずっと思っていました。デモ音源を作るにあたって意識していたことは何でしょう?
自分たちはハードコアバンドだと意識していると思いますが、激情ハードコアとしてはどうですか?意識していますか?
A:鋭さは、コードを作る段階でかなり意識しているのでそう言って頂けるととても嬉しいです。
今回の作品は当初はもっとずっと簡易的な「これぞデモ音源!!」って感じの物になる予定で、ライブを見てくれた人の手元に曲を残したいと思って制作しました。サンバーストのステージに58立ててオケもボーカルも一発で撮って、実際レコーディングは一度それで終わってミックス作業位まではそれで進んでたのですが、機材トラブルでもう一度取り直しになり、「どうせなら良く撮らね?」って言う意識転換が起こり気付いたら凄く良い音源にして貰っていて(笑)
ですので、意識した事は「手元に曲を残して貰いたい」って事に尽きるかと思います!最終的な音の仕上がりも、毎回想像しているより素晴らしい物を作って頂けるので、渡して貰ったものをそのままジャケットに入れてだしたって感覚です。ジャケットもイメージ通りA4サイズをそのまま上手く突っ込めたのでとても満足です!(笑)
バンドのコンセプトとして激情ハードコアを意識はしませんが、要素としてフレーズの中で引き出して使ったりはします。他ジャンルのフレーズもコードを作る上でかなり参考にしていて、曲のニュアンスは全てこのコードを作る時に出来上がります。
「ハードロック、エモ、パワーバイオレンス、フラメンコ、ブルース、昭和歌謡曲、ゲーム音楽」などなど 、激情ハードコア以外でも毎回曲を作る時にはバレない様にネタを仕込んでいます(笑)
あとはそこに怒りが込められるようにスピードやストロークを合わせて曲が完成です。
(photo by Yuma Kikui(@ymaphoto1109))
Q: 自分のアウトプットに、というか表現に対して最も影響を与えたと思うバンドとかアーティストについて教えてください。それらにはどうやって出会いましたか?そしてそこから何を得たと思っていますか?
A: 音楽的に影響されているのは「kaospilot」が一番強いと思います。結成間も無く突撃戦車のGtの丸さん(上記にも登場しているex.Tetola93メンバー)に薦めて貰い、そこからずっと大好きなバンドです。kaospilotを初めて聞いた時に、ネガティブな感情を前進する力に変換している様な音楽だと感じました。実際、歌詞も分からず彼等の生きている環境や思想も分からないままですが、この時感じた感覚を自分の中から引きずり出したくて、ずっと曲を書いています。活動や生き方の姿勢は、地元の突撃戦車や大阪STUBBORN FATHERのシゲさん、姫路KUGURIDOのジョージさんには本当に強く憧れています。
Q: このやりとりを振り買ってみると、音や言葉といった「情報」が先なんじゃなくて、人との出会いが重要な気もしますね。ixtabの今後の野望とかリリースの計画とかってありますか?デモ音源ってバンドのアイデアとかがプリミティブな形で残るから好きなんですけど、作品としてバンドが完成ですってリリースするものも僕は同じように好きなんです。
A: 勿論、自分で探し出してハマるバンドは沢山いますが、違う視点から刺激をくれる人との出会いは偶然だと思っていても、常に選択と行動があって、それがあるから音に意味や説得力が産まれるんだと思います。
俺もしっかりとした作品を出したいです。(笑)
まだまだバンドの知名度が低すぎるので、しっかりとした音源作品を作るまでに幾つもやっておかないといけないことが有ると感じました。
なので、勿論今後アルバムリリースは視野に入れていますし、それまでにどう行動し、どういう形でリリースしたいのかも常にメンバーで話し合ってそこに向けて行動を起こしている最中です。
Q: ありがとうございます。デモ音源はとても良かったですが、僕はそれだけでバンドを持ち上げるようなこともしたくなくて、ディストロした音源を手にした人や同じようにバンドをやっている人たちがそれをキッカケに新しい動きにつなげていって欲しいと思うんです。まだ出会っていない他のバンドで気になっているバンド、動きを楽しみにしているバンドとかってありますか?
A: 自分もこの作品をキッカケにもっと楽しい事が出来るようになると良いなと思っています!
自分は群馬県高崎市にあるGUNMASUNBURSTって箱で月に一回企画をやらせてもらっていて、でまだ告知していませんがそこに今度お招きしている「quiqui」はとても気になっています。青森の「kallaqri」も良く名前も聞きますし、soundcloudにあがっている曲も好きだったので、呼べたら良いなと思っています。あと話題になっている「老人の仕事」ももうなまえからして興味大です。(笑)
Q: ありがとうございます。最後に言っておきたいことはありますか?
A: 最後まで読んでいただいてありがとうございました!
近くでライブをする事もあると思うので、その際には皆さん遊びに来て頂けたら嬉しいです。
ixtab;
twitter : @ixtab_hc
===3LA音源販売ページ===
Demo / ixtab (CDR)
音源に収録されているのはたった2曲ですが、初期衝動的な勢いと怒りが込められているだけでなく、緊張感のあるRAW音質で楽曲が展開されている。2000年代のエモバイオレンスにも似た、思考で云々考えさせる前に問答無用で押し切ってしまうような力技感さえあるデモ音源。
(photo by Yuma Kikui(@ymaphoto1109))