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音階やメロディ的なところでは古き日本の民族音楽的なアプローチをとっているけれど、民族的な物語へ回帰することは一切なさそうな冷えた温度感

「帯化」とは植物に見られる奇形のことを言うらしい。wikipediaに書いてあった。自らを「帯化」と名乗るバンドの1stアルバム『擬似縁側型ステルス』、2020年作品を入荷しています。ちょっと語るべき軸が多すぎて正直自分の手におさまるものじゃなさそうだなと感じているんですが、1つだけ最初に言っておかないといけないことは、この音楽には批判性があるということ。ロックバンドを自称しながら定型ロックサウンドから大いに逸脱し、フォーマットはホームレス的ビニールシートを包んだカセット+ZINEという仕様。かつてはっぴいえんどが「既に失われた風景」を表現しサウンド面も当時の国産ロックから逸脱した存在だったことを思うと、彼らのサウンドもまたかつてそこにあったかもしれない情景を表現したのかもしれないが、よーく観察しているとそこには過去と現在、そして虚構までもが入り混じる謎の空間を浮かび上がらせ聴いている者を違和感の中に置き去りにする。Twitter、Facebook、Instagram...多くのインターネット上を介したツールによって、人間は動物的に操られ、イデオロギーに動員されていく。社会に対して意図的な潜伏を計ること、そして有機的な表現の道を探ろうとする彼らの姿勢は現代の潮流から見れば「奇形」なのかもしれない。だから旧時代を生きた僕は愛を持って言わなくちゃいけない。この音楽はロックじゃない。ポストロック。個人的には昭和天皇が崩御したときの空気感を思い出した。うっすらとした記憶だが、懐かしくもどこか空虚で恐ろしさを帯びる。音階やメロディ的なところでは古き日本の民族音楽的なアプローチをとっているけれど、民族的な物語へ回帰することは一切なさそうな冷えた温度感。STRAM同様、Klan Aileenの方が録音しているとのこと。まじか。
ダウンロードコード付き。

tracklist:
1. 前史/Zenshi 01:36
2. 夏が疲れた国/Natsu Ga Tsukareta Kuni 04:44
3. 水田/Suiden 03:32
4. 新・廃仏毀釈/Shin Haibutsukisyaku 03:04
5. 清庭/Kiyoniwa 00:59
6. アー・ウー/Ah Uh 04:12
7. 対終/Tsui Tsui 02:56
8. 1994 07:02
9. 受胎告知/Jutaikokuchi 03:15