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City of Caterpillarで体感するMore Than Music


photo: JVN

2016年、奇跡の再結成を果たしたUS-EMOのレジェントCity Of Caterpillarは2017年にヨーロッパツアーを行い、そこで邂逅を果たしたheaven in her armsの招聘により、2003年から15年ぶり2度目のジャパンツアーを行った。彼らのディスコグラフィーCDのリリースとジャパンツアーにあわせて3LAでは2度のインタビューを行った。1つは当時、SONZAI RECORDSとして彼らの来日を実現させたenvyの深川氏と今回招聘したheaven in her armsのKENT氏、もう一つはenvy河合氏と、KENT氏、そして2003年当時のツアーを体験し、その影響を公言するyOshi氏との対談を行っている。
前者は2003年当時の盛り上がってきたシーンの様子を伝えるものになっていて、後者はenvyやheaven in her arms, killieといったバンドが当時の体験を経てこの2018年にどんなメッセージを伝えようとしているのか、それが多少なりとも伝わるような内容になっているとお思います。このインタビューを通して、City Of Caterpillarというバンドの魅力を少しでも伝え、ツアーを楽しみにしてもらおうという企画だった。以下はそのブックレットからの1節だ。
(Complete Discography / City Of Caterpillar (2CD) 商品ページ)

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■3LA: 当時の来日で印象的な思い出ってありますか?初来日のenvy x Hot Cross x City of Caterpillarのジャパンツアーについて調べたんですが2003年なのは覚えてても、インターネットで検索しても不思議なくらい細かい情報が残ってないんです。ちょうどインターネットが急激に普及する直前、まだSNS文化が来てない時期だったんですよね。

yOshi: 俺も1回目の来日、Hot Cross目当てで行ったんだよね。下北沢シェルターで。でもHot Crossが正直、思ったほど良くなかったんだ。それで、Hot Crossの後にCity Of Caterpillarが出てきて、俺は曲も聴いたことない状態だったんだけど、出てきた瞬間にもう自分の中の理想系がそこにあった。自分が常に考えているハードコアの美しさを、ポップ/ギャップ/ドラマ性に加えて、City Of Caterpillarの場合はそこにクレイジーさも加わって混沌としてたんだよ。envyとはまた違うベクトルの「美しさ」がそこにはあった。そして何よりすごかったのが「A Little Change Could Go a Long Ways」っていう曲で、アンプの電源が何回も落ちて...。

河合: あったね。

Kent: そう、Jeffもあのときのシェルターのライブが、Cityのバンド史上凄く記憶に残っているライブだって言ってた。

yOshi: あの曲って、途中で静かになって、最後は突然ドカンと爆発して終わる曲なんだけど、曲の途中でブレーカーが落ちたのか音が出なくなっちゃったんだよね。俺も観てるとき最初は「こういう曲なのかな」って思ってたけど、様子見てるとアンプから音が出てないようだと。 そうしたらメンバー全員がもう諦めたのか、突然ステージ上で本当は弾くはずだった静かなギターパートをメンバーで歌い始めたんだよね。と思ったら、次の瞬間いきなりアンプの電源がついてドッカーンと入ったのよ。それで曲が終わって、「マジか!!」と思って。あの瞬間は、身体中の細胞がひらく音が聞こえたよ。凄すぎるでしょこのバンド!って。そこから音源とかも全部揃えていって、この前出た未リリース音源も買ったしめちゃくちゃ聴いたよ。個人的にもすごく影響受けていて、日本のenvyとかKULARA、There is a light that never goes outとか、凄いバンドだし素晴らしい作品を残していて影響受けたけど、その日本の美しさとは違うベクトルの「美しさ」をハードコアで出してきたバンドって居なかったんじゃないかな。あれは未だに衝撃。

Kent: ブレーカーが落ちて音が出ないところを皆で旋律を歌ってしのいだっていうのも凄いけど、最後の最後になってブレーカーが戻るっていう奇跡。
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最初のツアーは奇跡的な偶然も重なり特別感のあるものとして記憶されているようだった。僕も当然今回のツアーに行こうと思い、若手激情cape lightがセッティングした西荻窪FLATの会場を観にいった。(週末のツアーファイナルも行きたかったが残念ながら体調を崩してしまい叶わなかった)
cape lgihtや5000、sans visageといった20代のバンドは音楽性として現代のセンスでアップデートしている。そしてその日は台湾からUS:WE(直到看見鯨魚的眼睛 / Until Seeing Whale's Eys)も加わっており、いわばCity of Caterpillarより一周り下の世代のバンドたちによるイベントだった。sans visageもライブの終わり頃のMCで、その文脈を感じさせるようなMCをしていたのが印象的だった。

さて、実際に見たCity of Caterpillarは、年齢こそ重ねているが確かにその表現している音には本物感がある。ドラムは今でも他バンドで現役最前線で活躍しているだけあって、一切の疲れも感じさせないパワフルなドラミングだが、同時に繊細だ。その表現力は明らかに2003年の録音よりも格段にバンドのレベルアップに貢献しているのだと感じさせた。上記にも紹介したインタビューでも触れられている「A Little Change Could Go a Long Ways」ではスネアのロールだけでものすごい感情の表現力があり、素直に感動させられた。
ボーカルの音量は小さめだったが、これはどこの会場でもそういったバランスで調整していたらしく、ボーカルの「歌」が彼らの表現の核ではないとバンドも意識していることは発見でもあった。彼らはその超尺の楽曲の中での感情の揺さぶりや、徐々に高ぶっていく感情の移り変わりの中で、魂に訴えかけるメロディや歌詞以上の何かを音楽の中で共有していこうとしていた。暴れ回ったりモッシュするようなタイプの音楽ではないかもしれないが、深く刺さるものがあるリスナーは必ずいると思う。確かにこれはすごい体験なのかもしれないと、音の中で感じさせるには十分なものだった。そして、彼らは短い活動期間ながらも多くのリスナーに長きに渡って支持されている理由というのもわかった気がする。

ジャパンツアーで上がっている映像は少ないのですが、お客さんより名古屋公演より映像頂いているので公開します。
映像提供ありがとうございます!





■ 商品ページ:Complete Discography / City Of Caterpillar (2CD)
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=1012
■ 関連ページ:「俺たちは自分自身の中に、新しいサウンド、まだ未開拓の何かを"発見"したんだ。」
Interview with Brandon Evans (City Of Caterpillar,Vo/Gt)

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