レーベル特集 "オルタナティブ"探訪 ebullitionが切り開いた新しい価値観
ここではEbulltionの各リリースの、他ハードコアとの異なる着眼点について軽く紹介していく。もちろんこの当時のハードコアはEbullitionだけじゃないけど3LAは偏ったEbullition推しなのだという前提を理解した上でお楽しみください。
1991年にリリースされたEbulltiionのコンピレーション。90年代のストレートエッジなハードコアに対して、Ebullitionの提示の仕方はそういうのだけがストレートエッジじゃない!こういうのもアリなんだという意思表示だった。ここで注意すべき点は、レーベルオーナーKent自身はストレートエッジに対して深い理解と愛があったこと。それ故のメッセージだったことを考えると「アンチ」と捉えるのは間違い。これこそ「オルタナティブ」だった。
このファンジンは90's当時現在進行系であったパンク・ハードコアシーンに焦点を絞り込み1994年にスタート、所謂シーン黎明期の熱気を今に伝える内容になっている。ファンジン自体は2006年に#50が出版されて終了したが、ファンジンに関わっていたメンバーの何人かはGive Me Backというジンをスタートさせている。"エモ"はハードコアなんだと改めて気づかせてくれる一枚。
世界各地のエモバイオレンスたちに影響を及ぼしたOrchidと並ぶ超重要バンドの16曲入りCD。曲がとにかく速い!あっという間に再生が終わってしまう。歪みまくったギターと終始絶叫しまくりの轟音、しかしメロディがずっと鳴っているし結構リズムも細かいことやっていて勢い一辺倒という感じではない。一曲のアイデア勝負という姿勢が大変素晴らしいクオリティを生み出していて、型にはまらないハードコアを90年代という時代が求めていたのかもしれない。
ebullitionの最初期のリリースでもあるDowncast。これを現代のエモ、激情好きの若者が聴いたときどう思うのだろうか。しょっぱいメタルコアだと思うだろうか。あまりにも現代の激情サウンドからかけ離れてしまっているが、彼らのようなバンドがいなければ今日の激情シーンも無い、ルーツとして重要な作品である。不穏さを醸し出す音の生々しさ、メタルとは違う感情剥き出しの怒りの叫び、スローパートでよれるビート。だが、その揺れ幅こそ重要だ。
1990年代前半を駆け抜けたStruggleのディスコグラフィー。DowncastやBorn Against等と並んでUS激黎明期の重要バンドのひとつ。改めて聞いてみると同時期のDowncastやBorn Againstとは異なり楽曲がかなりお洒落というか洗練されている。重いミッドテンポなビートで次々と叩き付けるリフの数々、アイデアが秀逸。初期のニュースクールと激情シーンが枝分かれしている瞬間というか、現代からディグる視点だと交差している瞬間。
Orchid系の激情エモバイオレンスは大量フォロワーが発生したが、Yaphet Kotto系って国内ではあまりみないような気がします。それはバンドが持つロックな部分が影響しているのだろうか。無機質に切り裂くようなギターと決して上手くはないエモーショナルなボーカル、そしてなにより楽曲が素晴らしすぎる激情カオティック名盤。
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