Interview with Rorik Brooks (Cloud Rat)
そのギタリストであるRorik氏へのインタビューをDecibel Magazineに掲載されていたので、掲載元の許可も貰いましたのでここに翻訳記事をアップしておきます。
(元ソース;Decibel Magazine)
Q.Could Ratを知らない人の為に、バンドの歴史を教えてくれますか?
A.結成は2009年の12月、AdrianがドラムでMadisonがボーカルそして俺Rorikがギターだ。 Adreianと俺は以前一緒にバンドをやってたことがあったけどその当時は彼はMadisonと住んでたんだ。 彼らの住んでいる家でハウスショウがあったときに俺はMadisonの叫び声がマイクも無いのに部屋の向こうの人ごみの中から聞こえて来たんだ。 それから俺は彼らにグラインドコアのバンドを始めようぜと誘ったんだ。 俺はずっとストレートなハードコアをやってたこともあってグラインドコアをやりたくてうずうずしていたんだ。 最初の練習には4曲書いていってそれらは最終的に俺たちの最初のLPに収録された。 それからは曲を書いたりレコーディングしたりツアーをしたりそういうことに没頭してきた。
Q.ベースを入れなかったのは何故なのですか?そのほうが面白くなるのでは?
A.俺たちは以前にもこのことについて話し合ったことがある。 だがいまではベースがなくても俺たちは結束力のあるユニットであると確信している。 更に良いことには曲をつくったりレコーディングするにも非常にフットワークが軽いしストレスを感じない。 スケジュールを組むのも楽だし住んでる所もとても近いんだ。 ライブのセッティングは考えていて、今は2、3台のアンプを繋いでベースの部分はオクターブペダルで代用している。
Q.バンド結成当初はどういったところを目指していましたか?ここ数年で変化はありましたか?
A.最初は単にいくつかのショウでプレイして、ちょっとしたツアーでもできればという感じだったけれど レコードをリリースしたことで望ましいことだが理由付けなされた。 今では7枚もアナログ盤を出してアメリカツアーも何回かしたしカナダや今度はヨーロッパのツアーもある。 でもそんなに大きな変化があったとは感じてはいない。 俺たちはいまだにDIYでやっていきたいと思っているし未だに曲を書いて良いレコードを作りたいと願っている。 理想を言えばもっとポジティブなインパクトを与えられるようになりたい。 言い換えるとすれば、人々にもっと社会問題や政治問題を考えさせるきっかけとしてインスピレーションを与えたいと思っている。 でも俺たちはパンクバンドに過ぎないんだから壮大な妄想は持つ気はないけどね。
Q.メタルアーカイブスのサイトでは歌詞のテーマは女性の権利やビーガン、個人のエンパワーメントだと書いてあるけどこれは正しいですか? またそのような考えに至ったのは何故ですか?
A.俺たちの歌詞は様々なトピックスを網羅していて以下のようなテーマがある。 動物虐待、ビーガニズム、父権社会、グローバリゼーション、植民地支配、資本主義、レイプ、妨害、家庭内暴力、警察の職権乱用、 鬱、実存主義、フェミニズム、性差別、ドラッグ、宗教・・・いろいろだ。 Madisonの歌詞のほとんどは個人的なもので詩的でありながらこれらのテーマと関係している。 俺たち三人ともそういったことを真剣に考えるし、個人的な問題っていうのはみんなそれぞれに抱えているものだと感じる。 暴力やドラッグ、鬱、そういったすべてのことは俺たちが経験してきたからこそ表現している問題なんだ。 それこそセルフーエンパワーメントってことになるのかもしれない。 あと、俺は誰がメタルアーカイブスにその情報をアップしたのかは知らない。
Q.あなたの育った街がそのようなことをプレイし歌うことについて影響を与えた?
A.俺たちが思っているより影響はあったのかもしれない。 小さくてほとんど保守的な街、ミシガン中部の農村であまり発展していないところなんだ。 躾も悪いし、若いうちからドラッグが蔓延するような環境なんだ。 たくさんの友人たちが逮捕され服役していたり死んでしまったり自らの人生を破滅させてしまう。 俺はフォクトリーファームのそばに住んでいてそこで働いていた。 周りで起こる沢山のくそみたいな事を見聞きして来た。このバンドはそういったことのはけ口だったと言える。 またまわりに大きなパンクやメタルのシーンが無かったことも、俺たちが他の大きな都市のバンドたちとは違う音楽性を身につけた 要因になっていると思う。まぁわからないけどね。
Q.かなりの短期間にリリースを連発していますよね。 リリース頻度は計画的なものなの?それとも1stアルバム以降なにか閃いたものがあってアイデアが溢れ出てくるの?
A.いろいろな出来事が合わさったんだ。 まず1stですごくポジティブなレスポンスがあったのもそうだし、曲作りのセッションがすごく生産的になったのもある。 と同時に友人のバンドたちもすごい音源をたくさん用意していた時期でもあったんだ。 だからそれらのスプリットやコンピがリリースされたのは当たり前のことだったのさ。 "Moksha"以降はすこしリリース頻度は遅くなるだろうね。 俺たちは曲づくりもレコーディングも続けていくつもりだけどクオリティはずっと保ちたいと思っている。 レコードのためのレコードなんてあり得ない。そうだろ?
Q.新しいアルバムではどのような作曲方法なのですか? どれくらいの期間がかかりましたか? また他のレコーディングと違うやり方や改善などはあるんでしょうか?
A.俺たちの作曲のやり方はほとんど俺がリフを用意してそれをAdrianと二人で練習しいくつかの曲に仕上げる。 Madisonは今はデトロイトに住んでいて遠いから3人で合わせるのはちょっと難しいんだ。 今回のアルバムでのかなりの量を書いてレコーディングした。 Republic of Dreamsとのスプリット、Monomaniacのコンピレーション、Moksha、 そして今度リリースされるOrgullo Primitivoとのスプリット、あとお蔵入りのトラックが3曲ある。 一年を通して26曲くらい作ったことになるな。 アルバムのドラムとギターは2012年の2月に2日間で録音し、レコードのリリースされる順にMadisonのボーカルを入れギターを重ねて行く。 俺たちは自分達が良いと思うものをなんでも書いていく。 自分達自身のコピーではなく常にベストを尽くすということが俺たちのただひとつの共通意識だと思う。 そしてすべてのマテリアルを集結させてアルバムを構築していくんだ。
Q.アルバムの完成を振り返ってみて、これまでのレコードとMokshaは何が違うと言えますか?
A.今まででベストなサウンドであり、今までもっとも全員の力が結合された作品だ。 アルバムの流れも本当に満足しているし今までやったことのないような要素も違和感なく詰め込まれてる。 そして曲もより速く、より重くなりポイントによってはより遅くメロウなものになった。 つまり場所よってよりメロディックになり、よりえげつないものになったと思う。
Q.この新しいアルバムを聞いているとCloud Ratのリフには何かがあると思う。 1人のギターなのに幾重にも重なったメロディックなフレーズが聞こえてくる。 俺の耳がおかしいのか、それとも重ねられたギターなのか? これらのメロディックな音の存在は幸運な偶然によるものなのか?
A.偶然だろうね。 ギターは2トラック弾いているところもあるけど出来る限りライブに近い形になるようにはしているんだ。 だからあからさまなオーバーダビングみたいなものはほとんどしていないんだよ。 ほんの少しの重ねた部分や、フィードバックの部分、ボリューム調整やピックスクラッチくらいのものだよ。 ライブの後には何人かから同じような質問はされたことがある。まるでもう一人ギターがいるようだとかベーシストもプレイしているかのようだと そういうことを言われるけどほんとに1人なんだよ。 ABスイッチと多声オクターブペダルの成せる技だね。 そういったものが無くても全てのレコーディング、ミキシングを担当してくれたKevin Kitchelもサウンドには大きく寄与している。 彼は良いサウンドの作り方を熟知していてこのレコードでもそれを発揮してくれているんだ。
Q.タイトルの"Moksha"とはどういう意味なのでしょう? アルバムタイトルはあなたにとってどんな重要性があるものなのでしょう?
A.Mokshaの意味とは魂の解脱、ヒンドューの教えやその他東洋宗教の輪廻のコンセプトによるものだ。 俺たちにとってはとても重要なコンセプトで、他の解脱の教えからもヒントを得ている。 動物や地球や人類における解放とは。それは同時に暗い意味にもなる。最終的な解脱とは"死"について考えることは避けられない。 無を経て自由となるというか、少なくともそういうようなものに見える。
Q.あなたの生活のまわりではいろいろ大変なことがあるとは思いますが、 あなたの人生にとって今Cloud Ratとはどれほどの優先度があるものなのでしょうか? どうやってバンドと自身の生活とのバランスをとっているのでしょう?
A.俺はクレーンのオペレーターなどでフルタイムで働いていて9歳の娘もいる。 Madisonはデトロイトのコーヒーショップのマネージャーでいくつものバンドでプレイしている。 Adrianはさまざまなプロジェクトで誰よりも音楽に携わっている。 でもCloud Ratは俺たちの人生においてとても大きな位置を占めてる、ツアーやレコーディングなどすべてのことでね。 自分に関して言えばすべてのバランスを保っていくのはかなりの挑戦なんだよ。特に成長期の子供がいながらツアーをするというのはね。 幸運ながら協力的な家族や友人達がいるからかなり負担を軽くしてくれてる。 今度のヨーロッパツアーが終わったらすこしの間や休息をとろうと思っていて、たぶん2013年の夏以降になるとは思う。 このバンドのもっともハードな部分はやっぱり経済的な部分かな。 金が嫌いだ。だけど何をするにも金が必要だから金は稼ぐ必要がある。 ツアーの間職を失うということは生活の他の面を圧迫していくものなんだよ。 ほんとはギグも全部無料にしてTシャツとかレコードもあげたいんだけど、実際はそういうわけにはいかないんだ。 それでも俺たちは間違ってないし、もっと長く続けていけるんじゃないかと思っているけどね。
Q.Cloud Ratは次にどんなことを予定していますか?
A.MokshaのあとはテキサスのOrgullo Primitivoとのスプリット7インチが出る。 ヨーロッパツアーの後一休みして、そのあとはアメリカツアー、そしてカナダ、いくつかのフェスにも出演する。 2014年にはオーストラリアとメキシコにも行くと思うよ。 いろんなところでプレイできるのは本当に楽しみだ。 ゆっくりではあるが作曲も始めて居て2014年くらいまでのマテリアルはすべて準備していこうと思っているよ。
以上、Decibel Magazineのインタビューでした。
Moksha本当にやばいアルバムですし良い感じに評価を得て欲しいものです。
特に経済的な話のあたりは切ないので・・・。
>>> インタビュー一覧ページに戻る