Interview with Suguru(SeeK)
ボーカルSuguru氏は以前から当ディストロをチェックしてくれていたという縁もあり、インタビューがここに実現しました!
ツインベースという特殊編成で試行錯誤を繰り返すハードコアは激情要素、ポストメタル要素も織り交ぜつつ独自の道を目指すサウンド。
是非チェックしてみて、聴いてみてください。
Q.まず始めに、バンドの生い立ちについて聞きたいと思います。結成のきっかけは何だったのでしょうか?メンバーそれぞれ結成以前のキャリアなどもあれば教えてください。
Suguru(以下A).きっかけはかなり前になります。
結成メンバーであるBaのnoguと、当時のDrのwakkieとは小学生からの仲で14歳の時ですかね、いつかバンドやろうって約束してたんです。 当時、楽器を弾いてたり特に音楽を聴き漁ってた訳では無いんですが…目立ちたかったんですかね笑
本格的に始動したのは2002年です。その頃には色んな音楽を聴いてましたし、音楽が自分にとって凄く大事なものになっていたので、自然とバンド結成に至ってました。
BaのYamaはsound of silenceとかEARDRUMで弾いてて、最近加入したGtのTetsuは以前knelltで弾いてまして、現在moonlightというバンドでも弾いてます。
Q.音楽性を基に集めたメンバーなのではなく、地元の仲間で結成されたんですね。 それでも何年も一緒に活動していると"音楽性の違い"という問題が出てきそうなものですが、演奏の一体感には何か特別な結束を感じずにはいられません。 メンバーそれぞれのルーツにしている音楽性や、バンドの音楽性についてある程度の共通理解のようなものはあるのでしょうか?
例えば同じスラッシュメタル好きでもメタリカよりもメガデス派だとかNeurosis好きでもどのアルバムを最高とするかとか・・・ 乱暴な言い方ですが音楽的な部分でそういったメンバー間で共有されているものがあれば教えて頂きたいです。
A.noguとは長いですけどバンドをやる上で、取り分け音楽性の違いというものは感じた事は無いですかね。
好んで聴くモノも近いと思います。お互いカッコ良いバンドに出会えればこれどう?とか勧めあったりしますし、共感できる事が多いです。勿論、違う部分もあると思います。
YamaとTetsuとも挙げられたNEUROSISとか、共通して好きなバンドとか沢山ありますし、共通してないのも勿論あるかと思います。
ただSeeKという一つの場所に集まった時にそれぞれの音楽的バックボーンから、いかに一つのバンドとして昇華できるかだと思うので。
プレイヤーとしてお互いに敬意を持つ事ができていれば作曲、練習過程、ライブを共有する中でより結束、共通意識が芽生えてくるのかなと思います。
自分先行のイメージも大事にしつつ、このメンバーで何を生み出せるかって。状況が発想を、また発想が状況を生みだしていくと思うんです。
今のメンバーになってまだ間も無いんですが、そこはこれからだと思ってます。
Q.結成当初の目標やどのようなサウンドを目指していたのかを教えてください。最初期から現在のようなサウンドだったのでしょうか?
A.結成当初はボーカルで言えばメロディも多く歌っていましたし、歌詞も英詩で曲構成も今に比べて非常にシンプルでした。
部分的には今と通ずるものが在れど、全体的には当時よく聞いていたヘヴィロックの影響がもろに出ていた感じです。
けど、もっと自分達なりの出し方を追求したかったですし、そこで湧いてきてたイメージは俗に言うアトモスフェリックな音像ですかね。
前作の朽ちていく中ではその第一歩目に値するかと思います。
目標としては、自分達が心から納得のいく曲をとことん追求する、創りあげる、ただそれだけでした。
Q.アトモスフェリックな要素を取り入れたり、よりヘヴィなエクストリームミュージック、本気の音楽へ傾倒していくきっかけというものはあったのでしょうか?
先の質問でバンドを始めるきっかけは目立ちたいだけだったとのことでしたが、普通に続けていてこのような音楽性に辿り着かないと思うのですが?笑
その意識の変化のきっかけについてはかなり気になります。
A.開拓心は常に持ち続けていたので。自分達なりの表現は常に追求してて、日常の中での精神的な変化もありますし、それも音楽的変化に繋がっていったと思います。
あと、その時の状況が創りあげた流れもあるんです。 3人編成になった時にnoguが6弦ベースに変えたんですけど、noguの轟音、音のレンジの広さはそこからです。今でもその流れは汲んでます。
ボーカルのメロディに関しても3人編成になった時くらいから少なくなっていきました。ギターレスではメロディがイメージ通りに乗らなくなったので。 この状況でいかにして出せるか?っていうのも変化に繋がったと思います。 地元のシーンは僕が大好きなBIRUSHANAH、PALM、STUBBORN FATHER、CYBERNEとか他にも一杯居てるんですけど、完全にそのBANDの音として昇華しきってて、 ライブを観てきて本当にかなりの衝撃、刺激を受けてきました。
Q.前作"朽ちていく中で"は激情ハードコアやポストメタルの影響を感じましたしサウンド面だけでなく歌詞やアートワーク、トータルとしての"重さ"へのこだわりを強く感じました。
やはりそこはバンド活動においてテーマとなっているところなのでしょうか?
A.そうですね、重さは非常に重要だと思ってます。僕自身の音楽は全ての解放だと思ってるので。
もちろん歌詞も自分自身の深層ととことん向き合って書きますし、サウンドにおいては重いものがしっくりきます。 それが自分にとっては生々しいんです。全て繋がって結果として、重さと、旋律の兼ね合いは大きなテーマになっているかなと思います。 ただ最近加入したTetsuは重さとかいったモノとはまた違った持ち味があるんです。 先日のツアーから一緒にプレイしてるんですけど、SeeKの元々ある楽曲に対して彼はただ合わすというだけじゃなくて、もっと自由に、広く突き抜けたフレーズを乗せたりしてて。 まだ加入して間もないので、彼の持ち味はまだまだ未知数ではあるんですけど、これからの楽曲はより広がっていくと思います。
Q."朽ちていく中で"は2007年作ですが、本作"崇高な手"の発表までに5年も空いています。 その期間はどのような活動をしていたのでしょうか? また、このタイミングで新譜を発表するということは何か心境の変化があったのでしょうか?
A.ここまでの5年間はメンバーの入れ代わりが激しく、思う様にライブができなかったんです。 2008年に当時のギタリストDochin(現AGHARTA)とTakeshi(現soil (((in))) my venom under the sky)が脱退したので1年程、活動休止してたんです。 でギタリストを探してたんですけどなかなか見つからなくて。 それであまりにも先が見えなかったので、2009年から残ってたメンバーのnoguとwakkieで3人編成でなんとかライブしようと決意したんです。 そこから1年程ギターレスで3人でライブ続けてまして、ようやくヘルプでですが、ギターも加わった編成で活動し始めました。 それでnoguの音がかなりギターよりなアプローチだったので、もう一本ベースを入れたらどうなるかな?っていう、ある種の好奇心から始まりベーシストを探してたところ、昔からの仲であるyamaも丁度バンドをやっていなかったタイミングも合って加入に至りました。 その後もヘルプメンバーが入れ代わったりで、なかなか作品を創るという所まで行き着けなかったんです。 で少しメンバーが落ち着いた頃、今年の初旬にpalmのToshi君から先日のThe broderickのジャパンツアーの話をもらって、それじゃメンバーも少し落ち着いたし、そのタイミングに合わせて作品を作るのがベストだと思って。 ようやく残す事ができました。
本当に長かったです。
その分、この期間に感じた事、得た事は今の自分にとって凄く大きかったです。
Q.Broderickのツアーは本当に良かったです。 東京のライブでは僕含め初めて見る人も多かったのではないかと思いますし実際良いフィードバックが得られたのではないでしょうか?
A.ありがとうございます。
まずあの日を最高な形で企画してくれたwombscapeの皆には本当に感謝です。
(ライブでも)かなり多くのものを得る事ができました。 普段僕らのライブでダイブだとかいったリアクションはほとんど起こった事が無いんですけど、 東京ではダイレクトにそんな反応もあって、あの瞬間は凄く頭に焼き付いてます。 あの日をきっかけに、普段僕がCDを購入したり、各国の様々なバンドを発掘させてもらえてた3LAさんとこうして、 バンドとして繋がれた事もそうですし、物販を買ってくれた人がかけてくれた言葉とか、音源のレビューを書いてくれてたり、より広がって、多くのモノを得られたと思います。 今まで、地方へ行く事が本当に少なかったんですけど、これからはもっと行きたいなって気持ちがより一層強くなりました。
Q.今回の新譜"崇高な手"では前作以上にサウンドが硬くなり、低音が響いてくるなと感じました。
それはバンドのグルーブがより強くなったりと技術的な面もあるかとは思いますがレコーディングに関してはどのように行っているのでしょうか?
機材や録音の進め方など、前回から変わったことなどがあれば是非教えてください。
A.大きくは2ギター,1ベース編成から2ベース,1ギターに変わったところだと思います。 必然的に低音が出る分、バランスをとってギターは7弦から6弦に変わったり、全体的にフレーズもかなりタイトになっているので、前作よりは確かに硬質な印象になったかなと思います。 今作のレコーディングエンジニアには僕らがよくライブをしてる大阪のライブハウス、HOKAGEのPAでもあり、ネムのベーシストでもある音無さんにお願いしたんですが、 音無さんは普段から僕らの音を聴いてくれてたので、非常にやりやすかったです。 イメージの共有が早いので。
ボーカルに関しては今作はメロディが一切無いので、一貫した流れで録れたかなと思います。
Q.僕はライブが音源とは別物に捉えてるような、結構音源とライブが違うフィーリングを持っているバンドをよく観に行くんですけど SeeKの場合は音源の世界観やフィーリングをライブで完璧に再現するタイプなのかなと感じました。 ライブと音源の関係に関してはどのように考えていますか?
A.そうですね、フィーリングに関してはライブも音源も同じものを出したいと思ってますし、世界感もそうですね。 今までの流れで言うと、音源になる前に大体の曲はライブで何回も演奏してるので、空気感とかはある程度確立されてると思うんです。 逆にそれをいかに音源でも出せるかって思ってます。
良い意味での生々しさとか。
でレコーディングして気付く事も一杯あるので、それをまたライブに活かしていく。
そこで初めて音源とライブのギャップの様なものが無くなっていって、全て繋がっていくのかなと思います。
Q.前作はS.M.D Recordsからのリリースとなっていますが、新譜ではmoss recordsとなっています。これは自身のレーベルなのでしょうか?
A.そうです、今作は自主レーベルになるんですけど、今後は縁があれば自主ではないレーベルから出したいと思ってます。
Q.ご自身の話に移りますが、自分にとってのバンドとはどのような存在ですか?
また、DTMなどツールが発達して個人でも音楽が自由に作れる時代になっているわけですがその音楽をバンドで作り演奏していくということについては特別な思いはありますか?
A.あります。やはりバンドでやっていますと、考え方も、価値観も、感性も近い部分は在れど、違う人間が複数居るわけですから、時に上手くまとまらなかったりもします。
1人だとそういう事は無いですよね。全て自分の手ですから。 ただバンドの場合はだからこそ、自分一人では到底思い付かないアンサンブルであったり、空気感、大げさかもしれないですけど奇跡的なものが生まれたりします。 それぞれのアイデアが相乗効果を生み出して、全体が凄く絶妙なグルーヴでまとまるというか。それを共有し合える感覚、それはバンドじゃないと味わえないモノだと思います。 バンドは自分にとって本当に多くのものをもたらしてくれます。
達成感だったり、時には苦悩したり、挫折、感動、出会い、また別れであったり。
それはバンドで無くても、何かに対して心からやってれば同じ事なのかもしれないですけど、僕にとってはそれがバンドです。生きていく上で、大きな糧です。
Q.新譜をリリースしたこのタイミングで是非聞いておきたいのですが、バンドは今後どのような方向に進みたいと考えていますか?
またライブやこの先のリリース、動きについて何かあれば是非教えてください。
A.今後は音楽を通してもっと、色んな土地へ行きたいと思ってますし、地方、海外から呼びたいとも思ってます。バンドでそれができる環境をまず作りたいですね。
ライブは
11月16日に東京のisolateとイタリアのThe secretのjapan tourの大阪公演@Hokage
11月30日に大阪のSTUBBORN FATHERとの共同企画で各地から激情ハードコアだったり、グラインド、やばいメンツを大阪HOKAGEに招きます。
今月中には詳細公開できるかと思いますので、是非遊びに来て欲しいです。
リリースの時期はまだ未定なんですが、STUBBORN FATHERとアメリカのThetanとAltar of Complaintsとの4way LPをアメリカのmeatcubeからリリースする予定です。
そして、単独では来年にSeeK初のフルアルバムをリリースする予定ですので、そちらの方も是非チェック宜しくです!
以上、SeeKのインタビューになります。
当サイトとして国内バンドへのインタビューは初だったのですが、メールのやり取りや文章からも音楽への熱い想いを感じずにはいられませんでした。
4wayのスプリットやフルアルバムも予定していることで今後の活動も非常に楽しみです。
またインタビュー本編とは別なのですが、SeeKではドラマーを募集しているとのこと。
少しでも興味のある方はmossrecords@king-postman.comまで連絡くださいとのことでした!
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Discography:
Altar of Complaints / SeeK / Stubborn Father / Thetan (4way split 12")
崇高な手 / SeeK (CD EP)