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ポストロックやポスト・ハードコアといった枝分かれしていった道筋をもっとシンプルに且つ力強く表現する為にlangがいる / Interview with lang (by 3LA)


TJxLA FEST 2018の1日目に登場するlangは、2ndアルバム『There is no reply, but sweet wind blew』を2018年8月にリリース、久しぶりに印象的な国内バンドのアルバムとなった。Daitro, Mihai Edrisch, Sed Non Satiataなど数々の激情名盤を手がけたスペインのレコーディングスタジオ、Ultramarinos Costa Bravaにて製作されたその音は正に欧州激情系の繊細さとダイナミクスがある。しかし音は欧州激情系の文脈を汲みつつも、昭和日本の音楽家や詩人からも深く影響を受けた「詩」として歌詞も印象的だ。TJxLA FEST開催前、インタビューを行いました。

3LA: まず1つ目に聞きたいことは、ポエトリーと音楽が融合したものって普段聞いたりしますか?

和田(Vo):所謂、70年代フォークと言われているような方々の音楽を聴くことが多く、詩と音楽の融合ということであれば、 友部正人さんや加川良さんが僕の中で正しくそれであると感じていて、よく聴いています。入口は10年前、友部さんの「誰もぼくの絵を描けないだろう」というアルバムでした。一枚を通して、自分が触れたことのないくらいの静寂に包まれた詩を、まるで本を読むように様に歌っている楽曲群を聴いたとき、日本人で良かったと改めて思ってしまう程の衝撃を受けたのを覚えています。



3LA: langの感覚としては「激情ハードコア」という文脈上にあるような音楽、つまり90年代の終わりから海の向こうで起こった新しいパンクのムーブメントとしてのScreamoやPostrockといった音で、そういった影響を表現することにどんな想いがありますか?
昔、「ハードコアじゃなくてフォークなんだ」と言っていたのを聞いた記憶があります。

太田(Gt):ポストロックやポスト・ハードコアといった枝分かれしていった道筋をもっとシンプルに且つ力強く表現する為にlangがいるんだという事を和田の歌詞と共に作り上げていきたいです。
その根底には必ずフォークやJAZZ、ロックのクラシックなスタイルに通じる所ででかい音やハーモニー、シンフォニー感を出しているし、ただ単純に激情・ハードコアという視点では見つけられない出せない音を常に探していきたいです。

和田(Vo):よくよくフォークだと言っているのは僕ですね。
僕がひねくれていることと DaitroとAmanda Woodwardが好きというのは前提として、確かに僕らは太田が言うような音と、そこに飲み込まれず詩を浮きだたせる形のアウトプットが、「激情ハードコア」という捉え方よって狭くも広くもある表現方法にハマっているのは事実だと思います。前作とFredelicaとのスプリットは完全にそれです。
ただ、近年は曲作りで太田がアコギなどで持ってくるギターソナタのような難解な曲を、バンドサウンドのシンプルな形へ作り上げていく。それでもライブは「激情ハードコア」という枠組みが聴き手側に急遽発生する。 こちらの意図とは異なるそんな葛藤が、ずっとあって。どうにかしていきたいという想いがここ1年くらいのライブの表現でも、本作でも色濃く反映されているかと思います。




3LA: スペインまでわざわざ録音しにいって完成させた作品であることも、それらを裏付けていますね。自分たちが表現しようとしているものの意図と、聞き手が持っているイメージとしての枠、そこにギャップがあるというわけですね。実際、海外レコーディングだったりという経験も、様々な場所に存在しているギャップを自分たちにより明確に認識させたんじゃないでしょうか?

和田(Vo):ベースの寺井が言っていたんですが、今回のレコーディングは僕らがやり続けていることが間違いではないよと、録ってくれたサンチガルシアが背中を押してくれた気がします。 それに不思議と帰国後のライブではそこの差が埋まってきている気もしているのです。それはもしかしたら 水谷さんが仰るように、明確に認識できたからかもしれません。今は皆が自然体でやれているからかもしれません。これだけ言えるのは日本で高クオリティで出来ることを、わざわざスペインに行ってまでレコーディングすることに躊躇しなかったと言えば嘘になりますが、本当行って良かったと思っています。

3LA: 新しいアルバム、とても良い雰囲気になっていると思うし、それが今ライブという形で再び成長しだした感じなんでしょうね。昔の日本人のバンドも、当時はお金があっただけかもしれないけどよく海外でレコーディングをしに行ってたイメージがあるんですが、正直それが音にどれくらい反映されているかはわからないんだけど、確実に意識を変えて帰ってくる。それが次の製作にも活かされる。
そういえば、lang聴いてて、不可思議wonderboy感を少し感じましたが、知ってますか?

和田(Vo):昔、70年代フォーク同窓会という番組で、友部正人さんの演奏を見た小室等さんが、演奏後
「凄かった。NYから戻ってきた声してるよ」
「よれよれでしょ」
っていうやりとりが好きで、ふと思い出しました。きっとそれもそういう近くで共に切磋琢磨した彼らには明確な変化を感じたのでしょうか。
不可思議wonderboy知らなかったです。hiphopというものを実は殆ど聴いたことがなくて。


3LA: 刺激っていつもと違う体験だったりで得ることが多いと思っていて、今度行うTJxLA FEST 2018もオーディエンスとして楽しめるだけのものではなく、普段見ないようなバンドを見ての刺激だったりが、出演アーティスト同士でも起これば面白いなと思っています。langとしてはどんな気分で臨む感じになっていますか?

太田(Gt):まず今回TJ×LA festに呼んで頂けたこと本当に光栄に思います。
その中で私たちがその場に立てることが私たち自身大きな変化でもあり、互いに刺激の持てる環境の中でライブに臨めることはこの上ない喜びだと思います。

和田(Vo):僕もこのようなイベントにお声掛けいただけたのは、本当に嬉しく思います。そして、SNSでの発信を見ているだけでも、開催者の覚悟や想いを強く感じておりそれだけでも参加者として大きな刺激を受けるイベントになると確信しています。(STATEMENTの「一度は交わりながら~」の下りはグッと来ました)
僕らはトップバッターとして、飄々と僕ららしく臨むことができたらという限りです。


3LA: こちらこそありがとうございます。今回のコンセプトとして「今みるべきバンド」みたいなものがあって、つまり新作音源をリリースしたりして作品にも話題性のあるバンドに出演を打診しているんですが、お客さんには全バンド見て欲しいですね、きっとこのイベントの意味がわかると思います。
レコーディングでの体験で印象的な思い出があれば教えてください。日本との違いなんかも感じられたら知りたいです。

和田(Vo):レコーディングは素晴らしい経験でした。
ただ連絡をアバウトに取り続けていたので、レコーディングは直前まで出来るのか不安でした。今回録るSanti Garciaからの連絡も、「OK!」「Perfect!!」みたいなシンプルな返信が多かったので、このままスペインへ行って大丈夫なのかよと。もともとは郊外の一軒家のような場所で録る予定だったのですが、
⬇︎こんな場所...

Santiの奥さんの体調が悪かったようで、急遽、彼の近くのカタルーニャにあるスタジオで録音になったという連絡がViva BelgradoのCandidoから入りました。
初めて使うSNS(WhatsApp)を使いながら、Aloud musicの副社長でAnteros(このバンドもかっこいいです)のMauに連絡を取りバルセロナで拾われるのですが、直前まで僕らも「本当に会えるの?」くらいの冷や冷やで。そこから高速で約2時間。海沿いの、スペイン語も通用しない人がいる田舎町へ移動しました。
丁度、カタルーニャ独立運動がよく日本でもニュースでも流れていた頃で、独立を主張する黄色いリボンが街に結び付けられているのが印象的でした。Santiに会え、スタジオから徒歩10分程の海の見えるアパートに移動。夕食を 彼お勧めのレストランへ連れてってもらいご馳走してもらい、翌日から5日間でRecを行いました。助手はPlease wait(https://pleasewaitband.bandcamp.com/)のBorja。一番の驚きは、レコーディングもシエスタがあったことですね笑。
もう一つ、録音の音量の大きさにも驚きました。Daitroも同じスタジオで録ったとのことですが、スタジオが震えていたそうです。(小咄ですが今回の2ndギターの音はスタジオにあったDaitroが録音時に使ったものと同じのを使用してます。)
後は、ボーカル録りは言葉の壁がある分、苦戦しましたね。






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langの最新アルバム『There is no reply, but sweet wind blew』はこちら
TJxLA FEST 2018ではDAY1に出演します!チケットは下記からご予約ください。
3LA直販チケット:http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=1207
e+:https://eplus.jp/ath/word/122334


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