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アメリカのカスカディアンブラックメタル(と呼ばれるメタルの新しいジャンル)を世界に知らしめたWITTRの2007年作。本作からSouthernLordと契約しており、彼らの世界進出をサポートしたのもSouthernLordレーベルであったからこそ。レコーディングは数日で終わらせたとのことで次作等に比べるとサウンド面での差はありますが、楽曲クオリティは決して低いわけではない。
カスカディアンブラックとは、諸説入り乱れてはいるが簡単に言うと"自然崇拝型ブラックメタル"。"自然信仰"や"環境保全"などをテーマにしておりメンバーも実際、農業を営みながら自給自足=DIY精神に基づいて現代資本主義社会とは距離を置きながら生活をしています。彼らの精神はあらゆるところで実践されており、生活はもちろんバンドのレコーディングでもアナログ機材にこだわりデジタルエフェクトなどを毛嫌いしています。なんとなくCRASSの姿勢を思い起こさせますが、3LA的見解だとこのWITTRに関してはブラックメタルというよりはパンク/ハードコアを思想のルーツにしていると考えています。(もちろん音楽的にはブラックメタルのルーツです。念のため)
実際に彼らのインタビューを読んでみてもほとんどサタニズムに代表される欧州ブラックメタルの影響を受けていません。なにしろ一番影響を受けているバンドにNeurosisをあげていたり、パンク/ハードコアの姿勢があるからSouthernLordと契約したのだということも言っているのです。サウンドもどうでしょう。今では珍しくなくなってきたポストブラックメタルと根本的には同じ要素のクロスオーバーサウンドとは言えないでしょうか。ドゥーム、アトモスフェリックなポストロック要素と土着的な民謡、牧歌、フォークを織り交ぜたハードコアサウンドとも言えるんじゃないでしょうか。つまりはポストブラックってことですね。

Tracklist:
1.Dea Artio 05:58
2.Vastness and Sorrow 12:12
3.Cleansing 09:55
4.I Will Lay Down My Bones Among the Rocks and Roots 18:16