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1stデモから遂にリリースされた正式音源EP、2016年作。
一言目の感想は「あ、変わった...」という、前作のデモとはアプローチがかなり変わっておりまるで別のバンドになっている。トレモロリフやブラストパートもポストブラック感もあるものの、感触としてはこれを聴いてブラックメタル的な黒さを連想する人は少ないだろう。言うなればポストブラック歌謡曲。サウンド的にもリバーブ強めでシューゲイザー要素もあり、全体的にはメランコリーというか浮遊感のある雰囲気になっている。あえて暗く成り過ぎないところを狙っているのか、メロディも耳に残りやすいポップさも持ち合わせた作品になっていると思う。Deathspell Omegaの呪術的な雰囲気を醸し出したり、モロにV系アプローチを取り入れたり、自由な発想で想像力が発揮されているポジティブなエネルギーが満ちている。この感じで進化していくと、次回作はさらに変化するのではないかという若いバンドならではの楽しさがある。が、コンセプチュアルな作りが従来の「ハードコア」とは距離を置いたと感じたのも事実ではある。しかしそれも彼らのオリジナリティだと言ってしまえばそれまで。


tracklist:
1. 石榴(Pomegranate) 05:07
2. 名付く暗涙(Silent Tears) 05:20
3. 自己に対する無関心が生んだ他人への共感(Easy) 06:43
4. 幸福な旅の人へ(The Drowned Body) 04:08
5. 過誤の鳥(A Bird In The Fault) 01:44