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モントリオールのエクスペリメンタル・メタル・トリオ、Big Braveの2021年作品。過去作品から遡って順番に聴いていくと、前作『A Gaze Among Them』から社会的テーマを明確に打ち出して以降、パンデミック下で制作された本作も同様に政治的、社会的テーマとリンクしたアルバムコンセプト、サウンドコンセプトが緻密に練られている。また「Vital」とは"生命の維持に必要な"という意味、これは「Life Metal」と対になっていると解釈でき、Sunn O)))のフォロワーという立ち位置ではなく新たな文脈を継ぎ足していることにも注目したい。共通するのはバンド独自のアプローチと、ヘヴィメタルとの新たなる融合ということになるだろう。ただし、音楽的な面に関していうなら、このバンドの破壊性や独自性はその初期にあったと思う。そして作品を重ねる毎にその破壊性や独自性を強化するものというよるは、洗練/緻密化させていくという進化の歴史でもあったと解釈した。表現の核の部分は全く変わっていないし、作品が進むにつれ新しいことをやるのではなく、ただ自分たちのコアを研磨していく過程にみえる。前作/今作も社会的テーマを打ち出しており、それ故にそれがメディアで語られる軸になっているように思うが、多分そこじゃない。どこまで個人の心の領域に音を響かせられるか。言葉で伝えきれない感覚的なものを伝えられるか。

tracklist:
1. Abating the Incarnation of Matter 07:22
2. Half Breed 08:08
3. Wited, Still and All... 04:22
4. Of This Ilk 09:36
5. Vital 09:08