邦ロック濃度が日に日に高まっているungulatesリリースだが、本リリースで一線は超えたなという感がある。過去1stカセット(現在は売り切れ)も入荷していた東京のバンドとがると、らせん。のスプリット作。両バンドとも平仮名表記なのでパッと字面を見たときに何のことかよくわからなくなってしまうが、今日本語バンドはとても多いので我々も良い加減なれないといけない。
両者3曲を提供した全6曲のスプリット、"とがる"のほうは前作2ndアルバムで既にグランジもシューゲイズも減退した邦ロックだなと思っていたのですが"らせん。"と比較すると、かなりシンプルな構成のロックだったんだなと思った。昭和名曲のサンプリングを織り交ぜながら歌う喪失のラブソング。
つまり"らせん。"の方はもっと自分の想像を超えた邦ロックだった。サウンド自体はクラシカルなロックの要素はありつつも展開とキメの多様した楽曲がなんだかアニソンっぽい。海外のリスナーからすると日本人が作曲する曲はアニソンに聞こえるらしいという話を以前なにかで読んだことはあるが、それがこういうことなのかという謎の納得感を得た。シンプルなアレンジと楽曲の"とがる "と、現代日本のメジャー感を感じさせる編曲センスをみせつける"らせん。"という構図なのかなと。むちゃくちゃなことを書いているかもしれない。
とがるの「海に鳴る」っていうのが中島みゆき『ファイト』のサビ前歌詞「あいつは"海になり"ました」をサンプリングしているんだけど、そのファイトの歌詞には「女の子の手紙の文字は"とがり"ながらふるえている」っていう一説があってバンド名のほうにさらに掛かっている、という解説。
で、「ファイト」って曲は当時の声にならない声の代弁でもあったわけでそういう文脈での表現なのかなと思いました。そういう視点があるだろうから僕は彼らを入荷しているのであって、ただの楽観的な、あるいは自己満的な邦ロックだったらおそらく入荷することはないだろうとも思う。
tracklist:
1. Togaru - 海に鳴る - Crying Out At Sea 04:02
2. Togaru - 交差の中 - In Crossing 04:02
3. Togaru - 愛が全焼 - Love Burns Down 02:12
4. Rasen. - DIScommunication 02:57
5. Rasen. - KOKU/HAKU 04:42
6. Rasen. - beautiful mistake 03:30