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2020年代に入り一層の混沌を極めるこの現代社会において何かを信じることは難しい。ましてやスーパーニッチ音楽ジャンル、激情ハードコア=Skramzを本気で実践するということは音楽的な意味だけでなく、実社会との距離の取り方さえ難しい...でもこの社会、関わるだけの価値なんて本当にあるのだろうか。

本作『the first two works』はそのタイトルのとおりAngry Sonがデジタルでリリースした2つの作品、2021年の『3 songs』と2022年の『4 songs』の内容を収録し、かつ未収録作と思われる「転移の場所」を加えた編集盤カセットテープということになる。「転移の場所」についてはStudio ReimeiにてYusuke Shinma氏によるレコーディングと記載があるが他楽曲はsans visageの上山という記載もあり詳細についてはよくわからない。GENSENKANのメンバーも在籍しているため表現的には多少被る部分はあるものの、現行の激情ハードコア界随一のリリシストと言って過言ではないと思われる表現力は流石で、エモバイオレンス本来の熱量をそのままに、欧州激情的なクラシカルなムードで畳み掛ける演奏、録音のRAWさも素晴らしい。

全てがAIパワーに置き換わった後の社会に価値なんてない。この無意味さの表現の中に自分で自分を見出すんだ。
激情ハードコアの本質をあぶり出す全8曲、全ての激情リスナーにおすすめします。DLコードなし。

tracklist:
A-1. 祇園の夜
A-2. 散歩詩
A-3. 鴨川
B-1. Indifference
B-2. Dialogue
B-3. Flicker
B-4. 回想録
B-5. 転移の場所