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激音夜話ZINE - "3LAインタビュー傑作選 2010〜2025" (ZINE)

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「このZINEを読む時は、その手元のスマートフォンの電源を切ってくれ」 ZINE発行についての声明 / STATEMENT

 3LAというディストロ活動を始めた初期から、作品を取り扱うバンドへのインタビューを定期的に行ってきました。今回制作しているZINEは、これまでのディストロ活動15年の中でインタビューしてきた中で印象深かった記事や現在貴重な記録になっている記事などを厳選し、収録したものです。3LA活動の初期については日本国内のシーンに目を向けず海外の作品だけに注力していました。自分は日本国内に対して何のつながりも持たない野良だったからです。海外のバンドを取り扱うといっても当時は国内に情報のないバンドも多くいたため、インタビューなどを行い彼らがどんな活動をしているのかを紹介しようと思いました。ディストロ設立の理念は、「未知の音楽を発見する喜びを共有する」というもので、音源を販売するだけでなくインタビューを書いたり、コラムを書いたり、という活動もあわせてのディストロでした。

 インタビューを何度か重ねるうち、当時目にする他のメディアなどに掲載されているインタビュー記事がつまらなく感じてきました。特に国内バンド。どうでもいい内容をただ垂れ流している、というか作品リリースに伴うただのプロモーション活動の一環=「広告」としてのインタビューでしかなくて、だんだんそういうものに対して明確な反抗心が芽生えてきました。2010年代の話です。だって、インタビュー読み始めた瞬間から「前のアルバムでは〜」みたいなインタビューする側とされる側が友達同士みたいな関係性でいきなり話が始まる感じ、置いてきぼり感が凄いじゃないですか。インタビュアーがそのバンドの表現に興味がないからなのか、質問がテンプレみたいなインタビューばかりに思えてきた。しかし、ディストロ当初のインタビューは、その反抗的な思いと翻訳のスキルに相当なギャップがあり、聞きたいことを聞いたり、または質問へ返ってきた回答を更に掘り下げたりということが出来なかった。しかし、その歴史も含めてこのZINEには記録しています。初期の素人丸出しなインタビューも、後半になるにつれ、質が上がっていくいることがわかると思います。

 海外バンドへのインタビューは、DeepLの登場により以前感じていた翻訳スキルのギャップが大幅に改善されることになり、かつとんでもないスピード感で作業が進むようになりました。聞きたい内容も質問できるし、返ってきた回答に対して深掘りすることも出来るようになった。2018年前後から海外とのインタビューは急激にやりやすくなっていった。そうなると、今度は自分の中にある質問の「質」の部分も、もっと洗練していく必要を感じるようになった。自分は自分が作ったwebサイトを見て楽しいな〜とニヤニヤしたい人間だった。このZINEは3LAの活動記録であると同時に、移り変わっていく時代の中でその当時のリアルタイムのバンドの声を記録した"作品"としての面もある。こんなものがあるといいな、と思い描いたイメージを、日々積み重ねていく中で、思い通りにいかないことも含めて構築されたインターネット上の建造物が3LAだ。

 2020年前後からSpotifyのポッドキャストで田中宗一郎(aka タナソー)さんがホストを務めるPOP LIFE: The Podcastを聞き始めたことでインタビューに臨むために広く深い視点が必要だと思うようになった。つまり、社会では今何が起きていて、そしてアーティストは何に対して表現をしているのか、という問いをきちんと自分の中に立てることが大前提なのだと。SNOOZERが健在だった時代、まだ10代だった自分が抱くタナソーへのイメージは良いものではなかった。というか、タナソーの信者みたいになっている知り合いの話が好みでなかっただけかもしれない。2020年はタナソー再評価の年だったのだ。当然ながら、3LAが接する音楽シーンは、オーバーグラウンドのポップシーンのそれとは異なるものの、完全に断絶されているわけではなく地続きだった。そして、00年代という時代が、もしかしたら人々が自分の思考で試行錯誤していた最後の時代だったかもしれないと思うようになった。重要なことは、3LAがインタビューしている多くのバンドが「00年代」を本気で続けているバンド達だということだ。  自分が英語のインタビューも無限に出来るな、と思えるようになったが、記事としてアウトプットすることを思うと、長いインタビューではダメだと思うようになっていった。そしてインタビューの中で、僕とバンドが完全に答え合わせをしてしまってもいけない。そもそも僕自身も、読者/リスナーだってその答えが欲しいわけじゃない。SWARRRMの楽曲「答え」はまさにそんな曲だった。インターネットの世界がさらに現実を侵食し、人々は「答え」だけを探してる。考える前に、検索してしまってる。インターネット上に誰かの出した答えがあるし、手元にはスマートフォンがあるから。

 インタビューをするということは、その答えを合わせにいくことじゃない。プロセスなのだ、一番面白いのは。そしてこのZINEはそのプロセスを体現している。伝わるかどうかはわからない。15年人知れずインタビューを続けてきた狂人から、これから何か狂ったことを始める未来の狂人へ向けて、最後のメッセージだ。このZINEを読む時は、その手元のスマートフォンの電源を切ってくれ。

内容: 確定版仕様
・ページ数、152ページ
・全ページカラー
・当時のテキストだけでなく一部「回顧録」としてのテキストも追加
・一部web未公開インタビュー収録

収録バンド/アーティスト:
1994!,Algernon Cadwallader,ALPINIST,Amber Daybreak,And Its Name Was Epyon,Anüstes (graphic artist),BASQUE,Bicycles for Afghanistan,boneflower,capelight,CERCE,Chivàla,City Of Caterpillar,Cory (Halo Of Flies),Downfall Of Gaia,downt,ENSLAVE,FANGE,FIXED,Gerda,GREENMACHiNE,Habak,Hexis,ILIAS,Killer Calculator,KLONNS,lang,MASSA NERA,MEO,Mildred,moreru,Natalie Evans,NØ MAN,Pale & 冬蟲夏草,Plebeian Grandstand,PSP Social,quiqui,RESPIRE,Robert (ADAGIO830),Ryan (Meatcube Label),Sans Visage,Satón,SeeK,sekien,snag,Snöras,SPOILMAN,Stubborn Father,SVDESTADA,SWARRRM,TENUE,Tim Rottorf (Phobiact Records),unfaded,Viva Belgrado,yarmulke,yuma kikui (photographer),Yvonxhe,帯化,明日の叙景

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