進化するグラインドコアCloud Ratの2017年最新作はMolochとのスプリット!!
激情感を増したCloud Ratは近年の作品よりもエモバイオレンスさを出してきている。ドラムは相変わらずのブラストビートだが、ギターリフはこれまでのCloud Ratの色でない「ストレートなハードコア直系」なものを出してきたり、ポストブラックばりのコード主体のギターリフをかましてきたりと、細かいことを挙げていけばキリがないが新しい要素を次々とぶち込んでくる。D-BEATな曲もあったりして、もう何がなんだかわからないがカッコイイのは確かだ。彼らは一体どこまで変わっていくつもりなのだろうか。
一方のMolochはCloud Ratとは真逆の長編ドゥーム、そのうち1曲は10分を超えてくる。とにかく長い。聞く順番がCloud Ratの後だと気分がついていかないのでリスナー的にはかなりの修行モードになる。荘厳に構築されたサウンドは圧倒的で、Cloud Ratの革新性と比較すると目新しさには乏しいかもしれないが、彼らは彼らで自らの存在をアピールしている。バンドはアルバムリリースよりもとにかくスプリットを連発していくスタイルで、ムーブメントとは無関係に様々なジャンルと交流していく彼らのスタンスはポジティブだ。Cloud RatとスプリットをリリースしているDisrottedとのスプリットも2017年リリースで、このあたりのグラインド+ドゥームの絡みで、向こうでは何かが起こっているようだ。
そう考えると保守的にジャンル内で固まるのではなく「越境的」な両バンドによるスプリットが、このタイミングでリリースされることは意味深い。テキストでのステートメントこそ無いものの、明確にメッセージを打ち出していると言える。レーベル、バンド共に似たようなスタンスの人間が少しずつ集まっており、本流と分岐していたオルタナティブなシーンの流れが一つの大きなうねりになりつつあるのではないか。
tracklist:
1. CLOUD RAT - SUENO 02:00
2. CLOUD RAT - PERDIAK 01:44
3. CLOUD RAT - CLENCH 00:59
4. CLOUD RAT - BABY SLING (BALLOON BORN) 03:13
5. CLOUD RAT - BITING THE AIR 02:26
6. CLOUD RAT - PIT 03:03
7. CLOUD RAT - AMBER FLUSH 04:38
8. MOLOCH - THE NINTH WAVE / BLOODY NORTH 12:08
9. MOLOCH - LEAD 06:30