Interview with Kapo(SWARRRM)
結成から20年を経てSWARRRMが辿り着いた場所 - CDJournal.com
本インタビューはCDJOURNALを表とするなら、裏のインタビューという位置づけ。
こちらのインタビューも読んだ上で是非本編をお楽しみください。
【東西グラインドコアによる強力コンビネーション】SKYLAB HURRICANE / Disgunder + Swarrrm (split 7")
Q:本作『20year chaos』はブックレットにも掲載されているライナーノーツでも触れているとおり2000年代前半期のグラインドコア x カオティックハードコア x ブラックメタル等を取り込み進化していったバンドの「ある一時期」に焦点を当てた作品になっています。そもそも20周年記念の編集盤を制作しようという思惑は以前からあったものなのでしょうか?
A:そうですね。ピクチャーEPの3曲、NARCOSISとのスプリットEPの2曲の計5曲は未CD化だったので、いずれCDで発表したかったですね。時期を限定したつもりはないです。僕の感覚では特別な時期ではないです。
Q:また、今回この2000年前半期の作品に収録曲を絞った理由は何ですか?
A:正直、against again以前の作品は自分的には消したい過去の物です。
その後の当時としては過激なサウンドを目指していた時期の未CD化音源や廃盤になってる音源をまとめたらどうかなと思ったからです。
Q:当時の話が主になってしまいますが、2000年代前後の時期にブラックメタル的なものや、所謂激情ハードコア(エモバイオレンス)的な要素をグラインドコアに取り込んでいった結果、他ジャンルのリスナーがSWARRRMに辿り着く例も少なくなかったと思います。例えば私もその口で、激情ハードコアの流れからSWARRRMを知りました。そういった反応を当時は意図して(狙って)いましたか?
A:狙ってませんね。SWARRRMは最初から大きなバンドにするとか人気者になりたいとかそんな感情とは違う所で始めて今に至ってます。
今でこそカオティックハードコアとかの認知ありますが、当時は変態ハードコア扱いでほぼ受け入れられず、変態ハードコア系の方程式とも違うのでそこからも受け入れられずだったような気がします。
Q:結果として今現在孤高とも言える立ち位置を築いているわけですが、当時から「誰もいないところへ行こう」というような意識はあったのでしょうか?言い換えると、自らに「進化すること」という使命を課しているようにも見えます。
A:進化という言葉を使うと格好いいですが、要は飽き性なので同じことしたくないという僕らの体質による所が大きいです。
誰もいない所へ行こうという感覚はないですが"お前らと同じことはしない"という感覚はあります。
Q:常に曲作りをしているそうですが、それは今でも変わりませんか?当時と今で曲作りのプロセスは変化していますか?
A:常に曲作りしてます。今もかなりの新曲抱えてます。知識と技術がないのでプロセスの変更はないです。
あるとすればそれはもう別のバンドになります。
Q:『20year chaos』のジャケットをピクチャー7インチのアートワークのイメージを使っていることに特別な意味はありますか?この7インチに収録されている3曲(「DANCE」「SWIRL」「DOOM」)はすべて編集盤のほうにも収録されていますし、本作のテーマ的な意味で深読みをしたくなってしまいます。
A:もちろんこの3曲がこのCDの核です。ジャケでいうと大野君は別のジャケ2パターン程作ってくれたのですが、僕の思い入れが強くこれにしてもらいました。20年の活動期間には多くの人の協力がありましたが、裏切りもありました。このピクチャーEPを出したレーベルとも決別してます。それもありこの大野君の傑作ジャケットをあそこだけで消化したくなかった。
Q:今回収録されている作品以外にもSWARRRMはスプリット作品が数多くあり、以前のインタビューでも「有名無名問わず貰った話はほとんど受けている」といった話を読んだことがあります。活動が長くなっていくとそれなりに大きな知名度だったりがあるバンドとしかスプリットは出さなかったりするのが普通だと思っていました。例えば無名なバンドとのスプリットは自分のバンドの価値を下げることになるという考え方もできると思います。SWARRRMがこの点にこだわらずボーダーレスな活動を続けている理由は何なのでしょう?
A:断らなかったのはもう10年以上前の話かも。20年の間にいろいろ学習しました。締め切り急かされた挙句、発表されたのが3年後や、リリースされなかった事も一度ではないです。
水谷君も知ってるように昨年も大事なリリースをネットで発表しておきながらすっぽかされました。
只、スプリットの相手に有名無名は関係ないです。atkaって知らないと思いますが僕らとのスプリット音源最高ですよ。僕の個人的な考えはアマチュアバンドに価値もクソもない。自分のやりたい事を、やりたい時にやりたい相手とやるだけです。
Q:2000年後期にSWARRRMを知った若いリスナーは『BLACK BONG』や『FLOWER』から聴いて入ってきたという人も多くて、『Against Again』『偽救世主共』期をあまり知らない層にとってはこのバンドの進化の在り方、哲学みたいなものを提示できたとも思っています。今回のアルバムの聴き所として、こういったポイントで聞いてほしいという箇所はありますか?
A:哲学的な思いというか自分の思い入れはあったような気もしますが、脳の不調であまり思い出しません。ハードコアの伝統的なイメージに頼る事なくサウンドに特化したいなと思ってたような気がします。ハードコアのサウンドの極北はスピードを超遅くすることや 歪みを超強くしたりといった数値的なものならつまんないなと思ってたので それらとは別口の"何か"の模索がこのCDの時期の特徴かなと思います。
Q.「ハードコアの伝統的なイメージに頼る事なくサウンドに特化する」
今回の作品でもボーカルにほぼ歌詞がなく感情をそのまま吐き出すようなボーカルスタイルもこのことが理由だったのでしょうか?
A:内容は知りませんが、皆歌詞見ながら歌ってましたよ。
当時絶望感、混沌、憎悪等を表現しようとしてた時期だったと思います。そうするには、あれがベストだと思ってました。
Q:とあるブログで今回の作品に対して面白い解釈を見つけました。「カオスがバンドアンサンブルで企図された(実は)非常に知的なものである一方、それをぶちこわすくらい暴れ回るのがSWARRRMのボーカルに与えられた任務」という風に言っていて、非常に面白いなと思いました。バンド全員が一体になるというよりは、演奏vsボーカルのぶつかり合いの中で生まれる化学反応がSWARRRMの肝なんじゃないかという解釈だと思いますが、実際にはどうなのでしょう?ボーカルに対して最初からイメージを持って作っているのでしょうか?それとも演奏に対して自由な解釈でボーカルが乗ってくるという感じだったのでしょうか?
A:自由ではなかったと思います。10年以上前の事なので記憶不鮮明ですがかなり細かい指示と編集は行ってた記憶あります。今まで協力してくれたヴォーカリストは僕程、悪意的なアンサンブルやアレンジには興味なかったと思います。「どうせ良い歌唄わないんなら無茶苦茶すれば」とは言ってたような気がします。
バンドのアンサンブルの破綻感は大好きで、それはヴォーカルの場合もあれば、他の楽器の場合もあるし、曲の進行の場合もあります。でも、司君が入っていろいろ変えてくれたり、良い歌を歌っちゃったりして飽き性の僕らは まだ続けれてるわけです。
Q. SWARRRMのアンサンブルやアレンジはやはり「悪意的」であると自覚してやっているのですか? 『FLOWER』に関しても特に演奏や楽曲の構成は『20year chaos』の頃よりも構成がカッチリしていると思いましたが、ボーカルや音質なども含めてバランスを破壊しにいくような「破綻感」は確かにあって、それはこれまでも常に意識してきたということでしょうか?
A:それは、間違いなく意識的です。それが僕らのchaosに当たると思いますし、演奏中そこに一番スリルを感じます。当時僕の思っていた新しいサウンドが、合わない変拍子、割り切れないリズムそれらを数学的ではなく、暴力的なアレンジでアンバランスに演奏したいと思ってたような。
Q:今回2000年代前半期の楽曲が収録されていますが、いずれ2000年以降のCD化されていない音源の編集盤もリリースされる可能性もあると思っていてよいでしょうか?
常に変わり続けてきたバンドだけに、スプリットなどでリリースされた音源も時期毎にまとまっていると聴くほうとしてはとても面白いです。
A:今のところ特に必要ないと思ってます。
【神戸グラインド帝王結成20周年記念編集盤】 20year chaos / SWARRRM (CD)
【国内名盤、儚さと美しさを体現する唯一無二のカオス&グラインド!!】FLOWER / SWARRRM (CD)
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