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迷ったらまずはコレ!名盤特集!

初めてのレコ屋、初めてのジャンル、初めてのディストロ、新しい音楽に触れるのは楽しいが、その店では何がオススメなのかわからないと迷いに迷った挙句、結局何も買わずに店を出てしまうことも多々有る。3LAは激情ハードコアやポストロック、エモを中心に2010年以降に勃興してきたネオクラストやブラッケンドといった新しい小さなムーブメントについてもサポートしてきた。そこでこのコーナーは「何か買いたいんだけどあんまり変なもの買いたくない」というリスナーに向けて、ジャンルを越えてオススメできそうな名盤を10枚に絞って紹介していきます。

Complete Discography / Ictus (Double CD)
3LAリリースの代表作でもあり、スパニッシュネオクラストEkkaiaに並んで最重要バンドIctusの完全版。ある意味Ekkaiaはハードコア的に突き詰めているがIctusは叙情的でサウンドプロダクションも自分たちのスタジオでしっかりした録音を残しており音も良い。クラストだけでなく、激情ハードコアやメロディックハードコア好き、メロディックデスメタル好きにもオススメできるまさに情熱的なスペインの熱いメロディが日本人の感覚にも非常に共鳴するものだと思います。
FLOWER / SWARRRM (CD)
日本を代表するカオティックグラインド、SWARRRMも現編成になってからの4thアルバム、2014年作品。刹那の美しさと哀愁を帯びたSWARRRMのサウンドに凶暴なTsukasa氏のボーカルと日本語詞が乗り完全に唯一無二の進化を遂げ、その姿はまさに「孤高」と呼ぶにふさわしい。本作はリリースからすでに時がたっているが、出会う時期に関係なく多くの人に聞いて欲しい日本国内ハードコアの名盤であり、世界を見渡してもここまでの地点に到達したバンドは極めて稀だ。グラインドコアだけでなく国内激情、エモバイオレンス方面にも強い影響を与え続けているバンドであり聞けばその理由がハッキリとわかるはず。
Qliphoth / Cloud Rat (LP)
Cloud Ratの2015年新作。グラインドコアに激情要素やアンビエントパートも組み合わせた名盤『Moksha』(2nd)発表から約2年、様々なツアーやフェス出演を経てバンドは新たな境地に達している。グラインドコアというバイオレンスな音楽を手にしながら、彼らの提示する表現には美意識が隅々まで行き届いている。より深くへ達した精神で描かれる本作、またもや名盤の予感しかしない。女性ボーカル故の表現もバンドに更に個性を与えておりフェミ/アンチファシズムな思想を表現の細部にまだ行き渡らせながらも、思想に頼らずサウンドとしても先へ先と進んでおりもはやグラインドコアという枠には収まりきらないポテンシャルを秘めている。
Mappo / SED NON SATIATA (LP)
Sed Non Satiataの2013年作。Daitroと共にかつて00年代中盤以降のフランス激情シーンを牽引する存在だった彼らは常に進化し続けていおり、彼らの進む方向は00年代の欧州激情なサウンドとはどんどんかけ離れていく。攻撃的で展開の速い楽曲を演奏する初期Suis La LuneやLa Quiete,Raeinといったサウンドを求める若いリスナーからは敬遠されそうな楽曲かもしれないが、大人になる過程、精神的な成熟を経て鳴らされる音には勢いだけではない人生の深みが加味される。Daitroが活動を停止した今現在、シーンを牽引するバンドのひとつとして新しい可能性を提示し続ける彼らの姿勢は素晴らしいものだと思う。
Heart of Evil / GUEVNNA (CD)
東京を拠点にしながら国内、海外を問わず精力的な活動を続けるGUEVNNAの1stアルバム。スラッジ/ドゥーム的な要素をうっすら残したまま、よりアッパーでダンサブルかつヘヴィというサウンドを提示し反響を呼んだ。一部では「アーバンストーナー」とも呼称される彼らのサウンドは、確かに都会的な洗練を経た新しいストーナーロックの形かもしれない。だがこの『Heart Of Evil』を聴けば、彼らがもはやジャンルの暖簾を必要としないレベルに達していることは明白だ。
Har Nevo / The Black Heart Rebellion (CD)
ベルギー産ポストロックThe Black Heart Rebellionが辿り着いた新たなる境地。国内はTokyo Jupiter Recordsより2013年にリリース、国外ではSmoke & Dust Records、Adagio830 Records、 Consouling Sounds Records等からもリリースされLP盤はRough Tradeにディストリビュートされました。それだけの高い注目度を集めた本作は遂に欧州激情影響下のサウンドを完全に脱却し、アンビエント、フォーク、民族音楽も取り込みオリジナリティを確立しており各地からの絶賛も決して過大評価ではない。激情ハードコア、と呼ばれるジャンルを越えて多くの音楽ファンにリーチしたことは意義深い。彼らの冒険心に心からリスペクトです。
Tobia / ele-phant (CD)
このバンドも実験的なアプローチなので特定のジャンル内で評価されていないが、実験精神と音楽の普遍性を両立させながら絶妙なバランスで独自世界を築き上げた本作は、未だシーンの中心部からは全く注目されていないようだけど名盤であることを断言する。ギターレス、という編成ながら彼らの音楽を聞けばギターいらねえなと納得する。様々な音を操るベースとドラムのコンビネーションでバックトラックとしては完全に成立している。そして何よりも特筆すべきなのが「歌」だ。これが圧倒的な表現力、彼の歌がこのバンドの音楽性を万人にも聴ける普遍性を持った次元にまで押し上げているのを感じます。ここまで歌が強烈な日本語詩のハイクオリティなロックって実はアンダーグラインドシーンには少ないと思っています。
01.05.1886 / Protestera (CD)
アナーコパンク興味あるけど怖いという人にはメロディ的にキャッチーなやつから入ってみるのも良いと思う。Protesteraは男女混成ボーカルでメロディック、サウンドだけで聞くならめちゃくちゃキャッチーだ。歌詞は基本的には母国語の歌詞なのだが英語訳がついているのでバンドの思想に触れながら聴いてみてほしい作品。タイトルの日付、1886/5/1はヘイマーケット暴動から来ており、メーデーの起源となったこのキーワードと労働者階級でパンクを鳴らす意味について考えられる。
Eternity / Redsheer (CD)
国内激情要注目バンドの1stアルバム。激しさだけではない彼らの持つ深さ、ブルース、Botchをはじめとする90年代カオティックハードコアの渋い"エモ"さが詰まったRedsheerの音楽性は現行エクストリームミュージックファンだけでなく90'sカオティックハードコア、オルタナまでもカバーする懐の広さがある。音圧のある爆音感はあるが、作品からにじみ出る"繊細さ"については、国内emo文脈にも大いに共鳴する繊細さである。この両立を実現しているのがすごい。「音楽のどこの部分をかっこいいとするか」その美学の深さが見事に表現された傑作。音像、アートワーク、全てにおいて妥協の無い作品であり、ここ最近の国内勢のリリースでもクオリティはトップクラスに突き詰められていると感じる。
Nord / Year Of No Light (2CD)
フランスのYear Of No Lightが2006年リリースの1stをボーナストラックを追加し2枚組仕様で2012年に再発。
バンド自体は2001年に結成されたが、メンバーのサイドプロジェクト的ポジションだったためあまり積極的な活動されずに、最初のデモ音源(2004年)まではメンバーが流動的だったようだ。ポストロック、スラッジ、ドューム、アンビエント、シューゲイズ、ポストメタル・・・様々な言い方があるがLight BearerやCult Of Luna,ISISなどのように叙情的かつ深淵な精神世界の底辺へと潜航していく壮大な音世界。それはもはや一言では言い表せない音楽性でありシーンに新たな可能性を提示しようとしている。そんな姿勢こそポストメタルと呼ぶに相応しいのではなかろうか。編成はドラム、ベースにトリプルギター、そして各メンバーがそれぞれキーボードやパーカッションやら変な機材やらを兼任しておりサウンドはかなり重厚。バンドは作品ごとに進化をしていくのだが、2nd以降はインスト化していくのでボーカルが在籍しているこの1stは貴重。狂気と美しさの二面性が十二分に表現された傑作。


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